５２．痛み ページ5
華相SIDE
Aちゃんが率先して医者に頭を下げ、それに続いて他の奴らも下げた。
医「私たちも早く目覚められるよう尽力いたします」
「…はい、よろしくお願いします」
場地の寝ている病室だけ教えてもらい、俺たちはそのまま解散した。
マイキーと千冬はそのまま病室に残ろうとしたが時間外だったため、看護師に駄目だと言われていた。まぁ…また明日来るだろうし。
Aちゃんは医者に左手を見せて急遽縫ってもらうことになったらしい。俺も一応ついていくか、バイク置いてきてしまったから俺帰ったらAちゃん帰んの大変になる。
医「なんでこんなになったんですか…」
「…ナイフで自分を刺そうとした人を止めたら、間違えて刃を掴んでしまいました」
医「……そうですか」
医者もどう言えばいいのか迷ってるな…。
医「応急処置は終わりましたが無理に動かしたらまた血が出るので気を付けてくださいね」
「…はい、すみません…」
麻酔を打ってから縫うと言われたけど、時間がもったいないからとAちゃんは断った。麻酔無しで肌に針を何回も深くまで刺して…、想像するだけで痛みがこっちに移る。
「あー、痛かったわ」
華「！？！？麻酔打てばよかっただろ？」
「…いいの。痛い方が」
…どういう意味だ。
「…！…ごめん、変なこと言った。疲れてるのね、もう帰るわ。バイバイ」
華「あ…、あぁ…。おやすみ」
「おやすみなさい」
やっぱりさっき感じた違和感は、気のせいじゃない。全く…、千冬には仲間は頼るためにいるとか言っておきながら…。
君にとって俺たちは何のための仲間なんだろうな。
…ちょっとついて行ってみるか。
いや、ついてくついていかないじゃない。Aちゃんバイクに乗らないでどうやって帰るつもり！？本当に自然に帰ってったから忘れてたけど
華「おーい」
…返事はない。走って帰ってった感じはしなかったけど…。
華「…バイクに乗ってたら余計に見つからないこともあるしな、歩いて探してみるか」
Aちゃんの行きそうな場所…。ここら辺なら…、
華「…いた」
河原
「痛い…なぁ…」
華「…ッ…」
「でも…、あの子たちはもっと…もっと痛くて…苦しんでいたんだよね。それに比べたら私のこの傷なんて大したことはない」
Aちゃんは包帯を解き、縫ったばかりの糸を無理矢理引き千切った。そして、
川に飛び込んだ。
「…染みるな」
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
