７９．一歩じゃ足りない ページ33
花桐SIDE
臨時集会に呼ばれたのは初めてね。多分内容は今日の黒龍の件についてだろうけど…、マイキーのことなら抗争だーってすぐ決めてしまいそう。
「お待たせ」
もう使われてないであろうビルに入ると、そこにはまだマイキーとドラケンしかいなかった。
マ「早かったな。まだ全然集まってねぇよ」
「そう。まぁ近くにいたからね」
マ「何かしてたの？」
「少しジムに行って知り合いに練習付き合ってもらっていたの」
ワカさん、背中大丈夫かしら…。思い切り投げてしまってちょっと申し訳ないわ。
「他の子は？すぐ来るの？」
ド「今呼んだばっかだし、いる場所によっては時間かかるかもな」
じゃあ来るまで三人ということね。あまりこの三人でいることはないから、会話の内容とか全然わからないのだけど…。
まぁ、何とかなるでしょう。
マ「Aー」
「なぁに？」
マ「Aって華相と付き合ってんの？」
…なんて？
「付き合ってないわ。どうしてそう思ったの？」
マ「だって前キスしてたじゃん、俺たちの目の前で」
あぁ…、あの初めての集会の時のね。あれは流石にびっくりして思い切り殴ってしまったけど、ちょっと申し訳ないと思ってる。向こうからの一方通行な恋に私は応えれないから。付き合ってしまったらあの子たちに向ける愛情と違う愛情を抱いてしまう。そんなの…首領として失格。
「あれは単なる事故か何かと思って頂戴。紫苑は私のこと好きみたいだけど、付き合いはしない」
ド「…なんで？」
「…何でもいいでしょ？貴方達には一生かかってもわからないことだわ。一人だけを愛することがどれだけ危険か」
マイキーもドラケンもよくわからないという顔をしてこちらを見つめてる。私だって紫苑のことは好きだわ、別にキスをされても何をされても嫌だとは思わない。でも…そんな感情はいらないの。
私はいつでもみんなを見れるように独りで前に進まないといけない。そして誰かが止まったり進んだりすると、私はそこから動けなくなる。だから一歩前に進むだけでは足りないのよね。追いつけていない人を待って、進めるようになったらまた進む。
私はみんなと足を揃えて歩くことはできない。
もし、足を揃えてしまったら私はきっとみんなに置いていかれる。そうしたら羅賦良簾は終わってしまう。
…なんてね。こんな言い訳は後付けに過ぎない。何でも理由をつけて正当化しないとわからなくなってしまうから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
