７３．ワカとベンケイ ページ27
花桐SIDE
用事という用事でもないのだけれど…、少しガタイの良い人を思い出したから。
「やってるかしら」
向かった先は、スポーツジム。ボクシングとかも教えてくれるところ。私は主にキックボクシングの方を教えてもらっていたけど。
元黒龍の最強二人が経営するジム…、久しぶりに行くわね。
「ワカさん、ベンケイさん。いらっしゃいますか？」
若「誰」
慶「んー？…もしかしてAか？」
まさか私の見た目忘れたとか…！？
「そうですよ、お久しぶりです。二人とも」
若「あー、Aか。どうした？」
久しぶりの再会だと言うのに感動も何もないなんて…、相変わらずね。別に構わないけど。
「今日はベンケイさんに用事があってきたんです」
慶「オレか」
私は腰を９０度に曲げた。
「お願いします、私に締め技を教えてください」
慶「オイオイ、締め技はオレの専門じゃねぇぞ？」
「あ、言い方が悪かったですね。私に締め技をかけられて欲しいんです」
どう言っても失礼な言い方にしかならないのどうにかしたい…。説明したら長くなるし、ベンケイさん長話嫌うから…。
慶「それでアドバイスをしたらいいんだな？」
「…！そうです！私の締め技がどうやらまだ甘いようなので足の力の入れ方を教えてほしいんです！」
ちゃんと察して呑み込んでくれた…！良かったわぁ…。
慶「あのリングでいいか？」
「地面は硬くても問題ありません。今日はコンクリートの上で締め技をかけたので」
もしかしたらベンケイさんよりもあの人の方が大きいかもしれないけど、隣に立ってくれないと実際にはわからないわ。でも体格は似ているからこの練習は身になるはず。
若「羅賦良簾だっけ」
「はい、私が作ったグループです」
慶「よそ見しねぇでどっからでもかかってこい！A！」
準備出来たみたい。私、普通の服だから動きにくいっちゃ動きにくいんだけど…。まぁ、さっきこの状態で喧嘩してたし、特に問題はないと思いたい。
「…それでは」
私に合わせてくれる人は今いない、だから自分でもう一人分の動きもしないといけないわね。
慶「…！」
若「…へぇ」
脇が空いてる…、ここに手を入れてひっくり返す。
慶「うぉっ！」
足絡みは間違えて股関節外したら大変だから今日はやめておこうかな…。この状態のまま胴締めを仕掛けて…！
慶「……もっと力入らねぇのか！？」
「え！？これでも結構入れてる…」
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
