６５．幸せに ページ18
花垣SIDE
Aさんが一人ぼっちのように見えたのは間違いじゃなかった…。あの５人を失って…、それでも負けなかった。強いな…、Aさんは。俺なら絶対に折れちまう…。
「幸せになりなよ、二人とも。他人じゃなくて自分の手で幸せを掴んで…」
Aさんは俺と一虎君を優しく抱きしめた。昔のAさんと変わらない温かさだ…。
「バイバイ」
武「ッ…ひぐっ…、A…さ…んっ…」
「頑張れ、泣き虫のヒーロー！」
Aさんは太陽のように明るい笑顔で手を振った。
武「ま…、待って…っ」
…ッ…、いねぇ…。忍者かよ…あの人は…。
花桐SIDE
はぁ…、出来ることなら私も二人と一緒に暮らしたい。でも…そんなこと…許されるはずがない。マイキーの足取りは全然掴めていない状況。東卍の奴らに聞いてもわからない、稀咲がもしかしたら持っていたかもしれないけど私が殺したから本当にヒントすらない状態だ。
探している途中に警察に見つかったり、東卍に見つかるかもしれない。その時は…また殺すしかない。いい加減…、殺しもやめたいのにね。って…、どの口が言ってんだろう。
「戻れないんだから…。受け入れてね、私」
…？サツだ…、パトカーの音もうるさいし誰か追いかけてるのかな…。ちょっと見に行ってみよう、気づかれないように上からのぞくだけ…。
「…こっちか」
ここだ…。…ん？こんな狭い路地裏にパトカーが何台も入るわけない…。
「…っ！武…道…！？」
捕まってる…！？それに…羽宮君も…。後…、武道に手錠をかけているのは…、
「ヒナの弟…」
これは…助けるべき…？武道がどうやって時空移動をしているのか私はわからない、誰かの力を借りているのか自分の力で移動しているのか。もし誰かの力を借りていた場合、武道は二度と…過去に戻れない。
でも…、弟が力を貸していたら…？…もしそうなら絶対殺したら駄目。
「ッ…」
殺さないでムショから出てくるのを待つ、これが一番いい方法…。…急がば回れ。武道が過去を変えるまで私は耐えぬく…。
「頑張って…武道」
君しか…もう頼れる人がいない。どうか…君にとって…、みんなにとって幸せな未来が作れるように。…過去の私に会って、このことをちゃんと伝えてね。きっと昔の私なら君の力になれるだろうから…。
「あの子たちも…いるからさ」
ちゃんと未来は良いものに変わっているはず。だから…、諦めないで。
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
