６４．人殺し ページ17
花桐SIDE
誰も…いなくなってしまった。それでも私が壊れなかったのは千冬がいてくれたから。
千「そんなことが…。俺は…何も聞かされてませんでした」
「もう…嫌…」
千「Aさん…。…大丈夫ですよ、俺…稀咲を警察に渡せる証拠を掴んでるんです」
証拠を…掴んでる…？あの稀咲の…？
千「でも…、提出するか迷ってるところで…」
「な…なんで…？」
千「これを提出したらタケミッチも捕まっちまう」
武道も…捕まる…。千冬も…相当悩んでいるのか、私が…何か手伝えたら。
「私が…稀咲を殺せば…」
千「ッ！？そんなことしたらAさんの命は…！！」
「元凶はマイキー。でも、稀咲を殺すだけで東卍に綻びは生じる。壊すためなら…自分の命だってどうでもいいよ」
それから私は千冬と稀咲を東卍から追い出す方法を練っていた。勿論、誰にも気づかれないように。…していたはずなんだけど、それでも稀咲にはバレていた。
私たちは泳がされていた…。でも、流石の稀咲も私が千冬に内緒で立てていた計画は知らなかったみたい。
―過去話終わり―
武「その立てていた計画ってのが…」
「そう、今回の稀咲暗殺事件。結局…殺せたのかわからないけど…」
武道はボロボロと涙を流していた…、私よりも。羽宮君も涙は流していなかったけどバツが悪そうな顔で下をじっと見てた。
一「誰よりも大切な仲間が５人も死んで…、お前は…死にたくならなかったのか？」
「ならなかった…。あいつらに復讐するまでは…死ねないから…。生きる意味がそれしかなくなってしまったのはちょっとまずいけどさ…、私は…仲間が死んだ後の６年間、憎悪だけで生きていた。それだけが…、活力だった…」
武「じゃあ…、Aさんはこの後どうするんですか…？やることなくなったら…」
そうだね…、今までは稀咲を物理的に殺すこと…もしくは社会的に抹殺して東卍から追い出すことばかり考えていた。けど、あそこまで血が出ていた助からないはずだし私のやることは終わった…と思う。
これから…私は…どうしたらいいんだろうなぁ…。
「もう…味方なんて誰もいないからね、私には。…あぁ…、マイキー探しにでも出ようかな。探して…殺す」
武「Aさんの生活から人を殺すという選択を無くすことはできないんすかね…」
「出来ないよ。一度殺したら二度と消えない。ってことで…、旅行の準備しないと。金は邪魔になるくらいあるからね…」
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
