６１．みんな ページ14
花桐SIDE
沈黙を破ったのは武道だった。
武「Aさん…。もしかして…、千冬はどんな方法を使っても助けられなかったんじゃないですか？」
「ッ…！」
…ホント…こういう時だけ鋭いの困るんだけど。
私は黙って頷いた。
一「俺のこと騙してたのかよ…。千冬は必ず助けるって…」
「ごめん…」
一「謝って許されることじゃねぇ…。俺はお前を信じてこの計画に乗ったのに…」
言い訳はできない…、これは自分の力不足でしかないから。私一人でこの計画を実行するには危険すぎたし難易度が高かった。だから…私は羽宮君を利用した。
武「あの…一つ気になってたんすけど、Aさんの仲間だったあの５人って何処にいるんですか？」
「……紫苑たちのこと？」
武「あ、はい。そうです」
紫苑たち…ね。このことは…言ってもいいことかわからないけど、せめて羽宮君に少しでも許してもらえるならこの場で公言した方が良いか。
「殺された」
一「は…？」
「私たちは羅賦良簾として東卍と一緒にいたけど、黒龍と合体した時に私たちはこれ以上いられないと思って抜けることにしたんだ…。でも、勿論何の条件も無しに抜けることは許されないから一つずつ条件を互いに出して呑み込んだ」
その私からの条件を…、あの人たちはいとも簡単に破った。
「向こうからの条件は私だけ東卍に残ること」
武「Aさんはそれを守って東卍にいたんですね」
「そう。…でも、羅賦良簾が抜けてから約６年後ぐらいにあの子たちは殺された」
口を開いていたら泣くことを堪えられなくなってしまう…。わざわざ死体を見せつけてきたあいつらが本当に憎い…。
「紫苑は銃殺、桔梗は斬殺、睡蓮は焼殺、皐月は毒殺、そして椿は…」
私は抑えていた涙をついに流してしまった。
武「Aさん…もう大丈夫です」
「ううん…、ちゃんと言わせて。…守ってほしいから」
武「…ッ…はい」
椿の死に方は他の子たちよりも惨かった。
「椿は…私が殺した」
一「…どういうことだよ」
「椿を殺さないと…、捕まっていた女の子たちがみんな殺されるから…」
今こうやって思い出してみると、本当にあいつらのやることは人外のやることだったと思う。誰も人間の心なんて持ってなかった。でも…それは私もだから、何も言えなかった…。
「女の子に体を売らせるために定期的に何人か捕まえていたんだ…、東卍の人たちは。その時に…椿が女の子と間違われて…」
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
