貴方しか愛せないから。【ガラテア】 (ページ3)

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『ご、ごめんね…ここに来たのは、その、理由があって…やばい、英語わかんない』

彫「？？」

何か焦っている様子だけど、生憎彼の言っていることが分からないため解読ができない。

私が彫刻刀を持っているのが危ないと思ってるのかしら？

彫「scared? But this chisel won't attack you(怖い?でも彫刻刀で貴方を傷つけたりはしないわ)」

『あ、あ、わかんない…』

彫「？」

まだあわあわとしている彼。

危険ではないことを知らせるため、私は彫刻刀を机に置いた。

彫「Isn't this scary?(これで怖くない?)」

『あー…ちょっと待って…んー、ウェイト！』

私に"待って"とだけ伝えると、部屋からあわてて飛び出していった。

なんだか忙しい人ね、見てて楽しいけれど！

戻ってきたかと思えば、また私の嫌いな医師を連れてきた。

「ううん、この人は貴女とコミュニケーションを取ろうとしているのよ。貴方があまりにも人を信じないから。ストレスも多少解消してくれるそうよ」

__あまりにも他人を信じないから？

私を悪化させたのは何処の何奴だと思ってるのよ。

彫「ふざけないで。そもそも何で貴方が連れられて来たのよ」

「彼の母国を多少知っているからよ。彼の言うことがわかるの。貴方は分からないでしょう？だから翻訳してあげてるのよ」

『？？』

さっき焦っていたのは、彼がこの国の言語を知らないからだったのね。

…それにしても、この医師はいつでも皮肉を込めたような言い方をするわね。

つくづく腹が立つわ。

無意識に机に置いてあった彫刻刀で、車椅子のアームサポートの部分を突き刺していた。

『あの、この子大丈夫ですか』

「気分を損ねるとこうなるのよ。薬のお陰で少しは抑えられたと思っていたのだけど、貴方が作るほどの薬ではないから…」

『僕も、彼女に合った薬を作って…彼女が少しでも良くなるよう全力を尽くします』

「ふふ、頼りにしているわ」

私には話している内容がわからないから、ただ石を彫っていることしか出来なかった。