どうなってるんだよ ページ31
あの後、すぐにS達の教室へ向かい教授に名簿を見せてもらった。
顔色が悪いのを随分と心配されたが、ナワーブはそれどころではなかった。
名簿に載っている名前を、一つ一つ指で確認しながら見ていく。
けれど、何度確認してもS達の名前はどこにもなかった。
心配する親友に何とか笑みを返し、一人で帰路につく。
足取りは朝よりも重く、ナワーブはズキズキと痛む頭に顔を顰める。
教授に確認しても、S、M、R、Eという生徒は大学に在籍していないと言われた。
S達とよくつるみ、仲の良かった生徒にそれとなく聞いても、全員から「知らない」と返される。
S達の存在は、皆の記憶から消えていた。
ナワーブの記憶だけを除いて。
重い身体を引きずるように動かし、マンションへ向かっていると楽し気な笑い声が前方から聞こえた。
俯いていた顔を上げると、一軒の家の前に車が一台停まっているの見つける。その車から小さな子供が降り、買い物袋を車から運んでいる母親らしき女に笑顔で駆け寄っていく。
仲睦まじく入っていく親子。
そこは、S達と共に入った�倏冱辧蹐世辰燭呂困硫箸世辰拭�
頭が酷く痛む。
フラフラとした危うい足取りで、何とかマンションへ帰ってきた。
リュックを背負ったままソファーに座り込み、両手で顔を覆って俯く。
S達は存在しないものとされ、廃墟であったはずの家は持ち家になっていた。
丁度外に出ていた近所の人に話を聞いてみると、廃墟になっていたはずの家にはずっと人が住んでいたらしい。
廃墟になったことなんて一度もないと言われた。
実際、ボロボロだったはずの家の外壁は綺麗だったのを思い出す。
頭がおかしくなりそうだ。
いや、すでにおかしくなっているのかもしれない。
非現実的な出来事に次々と見舞われ、ナワーブの頭はパンク寸前だった。
「……これも、アンタの仕業なのか？」
ハスター。
夕陽に照らされて浮かび上がる影に問いかけたが、返事が返ってくることはなかった。
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作者名：モノクロ饅頭 | 作成日時：2023年11月4日 20時
