《３４》 ページ34
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すぐさま否定する汐恩は
気まずそうに視線を落とした。
教室に入る光が逆光で
どことなく眩しい。
…ここのところ、知らない汐恩の顔ばかり見てる気がする。
鶴房「俺はそんな優しい男やないし、
Aの言うほど大した奴じゃない」
「そうは言うけど、実際私は助けられたよ」
鶴房「……俺な、初めてAと会ったとき
下心しかなかったんや」
「へ？」
鶴房「顔はええやろ。
だから、仲良くなったら周りに自慢できるなって」
中庭のステージの盛り上がりが聞こえてくる。
この教室だけ切り取られたみたいで
少しだけ息苦しかった。
汐恩と一度目が合い、今度は私が逸らしてしまう。
誰かの小さく笑う声が聞こえた。
低く掠れたような、一番身近な。
鶴房「でもなぁ…いつからやろな。
俺、Aのこと特別になってたわ」
「とくべつ…」
鶴房「Aが誰と付き合おうが、
誰に告られようが、……一番の理解者は俺やって」
自虐気味に薄く笑う顔に、
胸がきしむ。
それは、私だって一緒だったんだ。
鶴房「Aが祥生と付きうことになったとき、
初めて焦ってん。
祥生みたいなめちゃくちゃイイヤツと付き合ったら、
ほんまにそのまま恋人になるんちゃうかって」
「祥生にはまるで相手にされなかったけど」
鶴房「そらそうやろ。イイヤツやから」
「…………？」
鶴房「あー…。まぁ、今のは忘れて。
ともかくめちゃくちゃ焦った」
「汐恩が？」
鶴房「この俺が」
確信はない。
自分の思い込みかもしれない。
でも、いつもふざけてて適当な汐恩の
真剣なその横顔を見ていると
軋んだばかりの心臓がきゅっと苦しくなる。
その理由を私は多分、少し前から気づいていた。
鶴房「Aが困ってんのに、
なんで俺じゃないんやって思うときもあった」
「…うん」
鶴房「…あのさ」
「？」
視線がぶつかる。
低くて喉に引っかかるような声。
前髪を上げると幼く見えるのに、
真面目な顔をするととことんかっこよく見えるのは
ずるいなって時々思う。
.
.
鶴房「…、っ…好きや、A」
耳まで赤く染めた汐恩は
私の目を見つめたまま。
「たぶん、めっちゃ」と付け足すのが
彼らしくて、笑ってしまった。
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そして、泣いてしまっていた。
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Shiu(プロフ) - Chii。さん» コメントありがとうございます！そのお言葉にとても嬉しくてニヤニヤしてしまいました(*^^*)やり取りをまた見たいと言ってもらえてとても嬉しいです！読んでくださりありがとうございました(≧∀≦)是非3周してもらって…（おい） (2021年8月24日 23時) (
レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Chii。(プロフ) - 声を出してニヤニヤしたの初めてかもしれません。まだまだ、やり取りが見たい…最高でした！！！後、何周しようかなって(笑) (2021年8月24日 19時) (レス) id: fc4ba5df33 (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ちゅるぼさん» コメント、そして最後まで読んでくださりありがとうございます！更新を楽しみにしてもらえていたみたいで、本当に嬉しさで胸がいっぱいです。次回作、蓮くんに挑戦したいと思います！背を押してもらうコメントありがとうございます(*´∀｀*)がんばります！ (2021年8月8日 16時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
ちゅるぼ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！毎回毎回更新を楽しみにまっていました！！毎回キュンキュンしてます！次回作はぜひ蓮くんをお願いしたいです！更新大変だとは思いますが頑張ってください！応援してます！ (2021年8月8日 2時) (レス) id: f73fdc9b1f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます！めちゃのんびり更新ですが楽しんでもらえていたらとても幸いです…(T_T)ここからきゅんを詰め込んでいきたいと思ってますのでこれからも見守ってもらえたら嬉しいです！(*´∀｀*) (2021年7月29日 1時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年6月9日 21時
