8話 ページ8
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拓実が来たし、私は開きっぱなしの
パソコンをしまいながら要件を聞いた。
前の席に腰を下ろした彼は
私の様子を見守りつつ答える。
深めにかぶったニット帽が
少し拓実らしいなと思った。
「飯行こって誘おうと思っただけ」
「ご飯？別にいいけど…
連絡くれればよかったのに。
私仕事の話してたじゃん」
「あー。返すの忘れとった。ごめん」
「まぁ忙しそうだもんねぇ。
あ、この会社の人で拓実のファンの人いたよ」
「そうなん？」
「うん、…え、なに？」
パソコンをしまい、鞄を持って立ち上がったものの
拓実は何か言いたげな面持ちで座ったまま動かない。
何かあるのかと聞けばじっと見つめられる。
「それなんで俺に言ったん？」
「なんで…って、嬉しいかなって？」
「あー…」
「えっなに。嬉しくないの？」
「いや嬉しいよ。
嬉しいんけど、Aはどういう気持ちなのかなって」
「私？」
「うん。いやでも、そーやな。
Aは昔からそうだし。うん。そうだわ」
何やら一人でブツブツ呟いて納得したらしい彼は
素早く立ち上がると「何食べたい？」と切り替えてきた。
よくわからないけど、気が済んだならいいかな。
「うーん居酒屋行きたい。高くないとこ」
「おっけ。調べるわ」
「私も払えるとこにしてね？」
「ん」
軽く返事した拓実はスマホを触りながら歩き出す。
そのあとを追いながら、さっき見た恋人の
後ろ姿をなんとなく思い出した。
拓実と…恋人以外の男性とご飯に行くのは浮気だろうか。
でも、私と拓実は肩を組むような関係じゃない。
ただご飯を食べて話すだけ。
なんなら会社の人と仕事終わりに
ご飯に行ったこともあったし。
「良さげな居酒屋見つけたけど、
前みたいにベロベロに酔わんといてね」
「失礼な。ベロベロになってないよ。
ほろ酔いだったじゃん」
「どーだか」
少し小馬鹿にするようにはにかむ拓実。
その表情に気持ちがゆるゆると解けていった。
そしたら泣きそうになってしまって、
慌てて心を引き締めた。
そうか。
結構傷ついてたのかもしれない。私。
拓実の前だと安心してしまって
私の駄目なところがボロボロに崩れそうになる。
「……ベロベロになっちゃいたいなぁ」
「自暴自棄になんなや」
こんなくだらない独り言もちゃんと拾ってくれる。
昔から変わらず、イイヤツ。
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Shiu(プロフ) - 緑さん» いつも読んでくださり、そしてコメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても励みになります…(T_T)このお話も最後まで頑張って書いていきますので、ぜひ見届けてもらえたら嬉しいです(*´∀｀*)次回作ももちろん全力で頑張ります！ (2021年6月9日 23時) (
レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - nanakoさん» コメントありがとうございます！ぜひこのお話のラストも見届けていただけたら嬉しいです(*´∀｀*) (2021年6月9日 23時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
緑(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！学園もの全然アリやとおもいます！アリっていうかもはや読みたいです（笑）完結と新作楽しみにしてます！！ (2021年6月8日 23時) (レス) id: 70fd815c99 (このIDを非表示/違反報告)
nanako(プロフ) - 好きなお話でした。楽しかったです。鶴房くんのやめたら嬉しいです。 (2021年6月8日 21時) (レス) id: 739857a84a (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ちいたんさん» ひゃーー！ありがとうございます！！めちゃくちゃがんばります(*´∀｀*) (2021年6月7日 12時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2021年4月12日 22時
