キツネへ嫁入りしませんか。【川尻蓮】

1話 ページ1

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ひらひらと舞う桜。


その下には幾人ものスーツ姿と
そんな彼らを囲う私服の人々。






学生「うちのサークルどうっすかー！」

学生「ほんと人数足りないんで！来て下さーい！」

学生「美人めっちゃ多いっすよ〜！」





今日は大学の入学式。


堅苦しい式が終わったかと思うと
建物の外には在学生たちが待ち構えていて。


サークル勧誘やらお友達づくりやらで
大盛り上がりを見せている。





「…どうしたものか」





人混みの方へ行く勇気がなくて
建物の中からその様子を見守る。


サークル、何も決めてなかった。




友達ができたらその子と同じやつ入ればいいやとか
イケメンがいたらその人と同じサークルに行こうとか

その場のノリに任せる気満々で。



まさか入学式当日からサークル勧誘があるとは。





一番最初に声かけられたサークルでも良いんだけど
やるからにはキラキラ大学生を送りたいし。


全部断りながらチラシだけ貰おうかなぁ。








なんてぼーっと考えていた、その時。









？「人すごいよね」







不意に背後から声をかけられた。



びっくりして振り返ると、

そこには銀髪のお兄さん。



キリッとしたお目々は
笑った途端柔らかくなって

はにかむと子供らしい笑顔になる。




スーツじゃないから在学生、

つまり先輩だろう。








？「あそこの道歩きにくいけん、
ショートカットするしかないんよねぇ」

「しょーとかっと？」

？「抜け道あるんよ。来る？」







こっち、と手招きしてくれる先輩。



大盛り上がりな人々の声がだんだんと遠くなり、

裏門に着いた頃には人のざわめきは一切聞こえなくて。







ひらひらと舞う桜。


春と青空の匂い。







？「ほら、ここから出れるよぉ」

「あっ、ありがとうございます」

川尻「いーえ。あ、俺『川尻蓮』っていうのね。
また困ったことあったら聞いて！」









ひらひらっと手を振る川尻さん。


私の体が勝手に動いてその手を掴んでいた。




きょと、と目をぱちくりさせる川尻さんに

私は食い気味に聞いてしまう。









「サークル何入ってるんですか」


川尻「え？ダンスだけど…」


「入ります」


川尻「ええっ？」


「川西Aです。ダンスサークルに入れてください」









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川西A

・大学一年生
・高3の弟がいる(苗字から察する方もいると思いますが)

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