18話 ページ18
.
ひとまず私は先にキャプテン先輩へ
先生からの伝言を伝えに行った。
「いつも以上に瑠姫がくっついてんな？」と
笑ってたけど、二人とも笑い返せず。
白岩「何があったの」
私の部屋まで送ってくれたるっくんが重々しい言葉で聞いてくる。
逃がすつもりはない、と出入り口に立って。
じゅんきには先に部屋に戻ってもらっている。
彼にもそう伝えたけど、ちゃんと説明するまで戻らない
と言い切られてしまった。
背の順で前から3番目の私は
るっくんを近くで見上げると少し首が痛い。
「ねこがいたの」
白岩「ねこ？」
「ちっちゃい子猫。
先生のとこから戻ってくる途中にいてそれで、」
ガンッ
何かがぶつかる音がした。
壁を強く叩いたるっくんが
冷たい目で私を見下ろしている。
長い前髪の間から見える目には光が無い。
るっくんは気持ちを落ち着かせるように一息吐いて、
壁に置いたままの手を握りしめた。
白岩「…なんで嘘つくの」
「嘘じゃ、」
白岩「猫見つけて1時間も戻ってこないとかある？」
「…あるもん」
白岩「あのさ、幼馴染舐めてんの？」
「……っ」
でも、じゃぁ、なんて言うの。
不良二人に絡まれたからって？
もっと心配させてしまうだろう。
しかもその二人を私は一人で対処してしまった。
…そんな幼馴染を、女の子を
るっくんはどう思うんだろう。
何も言い出せず、
顔を見ることもできないまま。
あまりにも重い沈黙がただ流れていく。
その時間があまりにも怖くて、
足が竦んでいる感覚だけがハッキリしていた。
…しかし、少ししたあとに
「ぁっ」という声が聞こえた。
視界の隅にるっくんの手があわあわと動いてるのが見える。
白岩「ご、ごめん、怖かったな。
ほんとごめん。俺焦っちゃって」
「…？」
なんで急に…と思ったその時、
いつの間にか目に溜まっていた涙が顎まで伝っていった。
るっくんの指が優しくそれを拭う。
優しくて、やさしくて。
温もりに強ばっていた体がゆるゆると解れていく。
見上げれば、どこか困った
でも温かいるっくんの顔。
いつもずっとそばにいてくれたるっくんだ。
「心配かけてごめんなさい。
…あと、泣いちゃって、ごめん」
白岩「泣かせたのは俺のせいだから」
ごめんな、と撫でてくれる大きな手。
その温もりに、なぜかまた涙が込み上げてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Shiu(プロフ) - シキさん» 温かいコメントありがとうございます…！そして他作品も読んでくださってるみたいで…！すごく凄く嬉しいです、ありがとうございます！この作品もまた読み返して貰えるようなお話になるよう頑張ります！ありがとうございます！ (4月10日 21時) (
レス) id: de23370fb2 (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ゆかさん» はじめまして！瑠姫くんJAMの方に読んでもらえてすごく嬉しいです……！ふたりが付き合うかどうか、今後の展開をお待ちいただけますと幸いです( ,,._.,,)温かい励みになります！ありがとうございます！更新頑張ります！ (4月10日 21時) (レス) id: de23370fb2 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - 初コメ失礼します。お久しぶりの更新ありがとうございます。Shiu様のお話どれも何回も見返すくらい大好きなので嬉しいです。ご自分のペースで無理なさらないでください。また更新楽しみにしてます♡ (4月9日 19時) (レス) id: fa47139e50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 初コメです☆久々の更新待ってましたよ☆あたしるんき推しの瑠姫くんJAMなのでこの話し書いてくれて嬉しいです(/ω＼)♡過保護すぎる瑠姫くんも大好きなので早く(合宿中とかで)主人公と瑠姫くん付き合って欲しいです♡無理せず更新頑張ってください☆ (4月5日 21時) (レス) id: 826cdd421b (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - りんさん» はじめまして！温かい感想とお言葉ありがとうございます！身に沁みます(T_T)これならも楽しんでいただけるようがんばりますね！！とても励みになります！ありがとうございます！！ (2021年9月18日 12時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiu
| 作成日時：2021年8月27日 11時
