第六十九訓「受験応援してるぞ」 ページ19
太陽の光を反射し、水面が輝く河川敷に無残にもバラバラにされたカラクリが砂利道に放り出される。ここまで運んできた万事屋御一行はやり切ったと満足気だが、作り手である平賀源外は怒り心頭だった。ついてきただけのお登勢は呑気に煙草を吹かしている。
「みんなバラバラなんですけど……なんてことしてくれんだテメーら」
「大丈夫ヨ。サブは無事アル」
《御意》
「御意じゃねーよ!! なんか形違うぞ!! 腕ねーじゃん腕!!」
間に合わなかったら切腹モンという言葉を聞いた三人は顔を見合わせた後、何事もなかったかのようにゆるりと解散。「あ、ヤベ。カレー煮こんでたの忘れてた」とか言いながら。
その場に残されたお登勢と源外。途方にくれながらも祭りに間に合わせるために作業を始めた源外の背中にお登勢は紫煙を燻らせながら問いかける。
「アンタ、大丈夫なのかい?」
「………やるしかねーだろ徹夜で仕込めばなんとか……」
「そーじゃない息子サンのことだよ。アンタの息子、確か幕府に……」
それを聞いた源外はピタリと作業していた手を止めるが、やがて何事もなかったかのようにまた作業し始めた。そして今度はその手を止めずにお登勢にこう答える。
「………お登勢よ。年寄りが長生きするコツは嫌な事はさっさと忘れることだよ」
もうそれ以上何も言うなとでも言うようにわざと大きな音を立てて作業し始める男にお登勢は一つ、煙草の煙と共に溜息を吐き、「明日、
音が大きいからと公害扱いしたのはそっちの癖に余計なお世話だババアと源外は心の中で悪態を吐いた。わざと大きな音を立てながらカラクリを作っていたのは昔のことを思い出さない為だ。
『__そんな険しい顔で仕事してるアンタ、俺ァ見たかねェ』
ギリと歯を食い縛り更に作業に没頭する。思い出さないように、忘れるように。そんな源外に一つの影が落ちる。
着流しの蝶柄と同じようにヒラリと裾を靡かせた影___ソイツは源外と目が合うなりこう言った。
「じーさん。俺と手を組まねェか」
_____俺もこの国とアイツの目を覚ましてやりてェんだ。
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撫子(プロフ) - 美結菜さん» 初めまして美結菜さんお返事と更新が遅くなり申し訳ございません。ありがとうございます!!少しずつの更新ですががんばります!! (2023年5月7日 18時) (レス) @page22 id: ba69f6c565 (このIDを非表示/違反報告)
美結菜 - とても面白いです!続き楽しみにしています! (2023年2月14日 20時) (レス) @page21 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
撫子(プロフ) - 十六夜さん» 初めまして十六夜さんお返事と更新が遅くなり申し訳ございません。夜ちゃんと寝れてるようなら何よりです。続きを楽しみにしてくださりありがとうございます! (2022年11月23日 16時) (レス) @page20 id: ba69f6c565 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続き気になりすぎて夜しか寝れません!!!更新待ってます! (2022年8月4日 21時) (レス) @page20 id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
撫子(プロフ) - 遠井茜さん» 初めまして遠井茜さん。ありがとうございます!作品と共にイラストまで褒めて頂けるなんて嬉しいです!更新は遅いですが書き続けていきますのでどうかよろしくお願いします! (2021年8月9日 12時) (レス) id: ba69f6c565 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:撫子 | 作成日時:2020年11月15日 18時