第六十五訓「宙と空」 ページ15
早朝、心なしか肌寒い時期の頃だ。拠点前には彼女と自分の二人だけしか居ないため静かだった。朝特有の澄んだ空気の中、深呼吸すると肺だけじゃなく身体の隅々まで洗われていくような感じがした。
『………そーか。お前がおりゃあ面白か漁になると思っちょったんだがの〜』
『……悪いな』
目の前の彼女は別れを惜しむ様な素振りをこれっぽっちも見せず、相も変わらず飄々と涼しい顔でそう言った。
それで良い。その方が自分は此処に、この場所に、彼女に未練を残さず宙へ行ける。
『こう見えても
風が吹いて彼女の空色マフラーが靡く。夏の青空をそのまま切り取ったようなその色は彼女の白い容姿に映え、よく似合っていた。
『……結、これからどーするがか？』
『俺か？ そうだな……』
そう言うと彼女は考えるように口を噤み空を見上げた。その姿がとても綺麗で、見れたのが自分だけという優越感を覚える。
……
『俺はのんびり
『それはわしが落ちても釣りあげてリリースしてくれるかの』
『いや、アンタならほっとく』
『手厳しいの〜』
とか言いつつ、天邪鬼な彼女なら文句言いながらもしっかり釣りあげて、宙へ返してくれるのだろう。ぶっきらぼうに「もう
『……わしゃ、結と一緒に
最後の悪足掻き。これで彼女が心変わりするとは思えないけどそれでも、それでも自分は彼女と。
『………俺は
＿＿＿そう言って花笑んだ彼女の
『……そーか』
お前が
***
……フフ、そーいやそんな事ゆーちょった。
まったく何考えてるかわからん女よ。
じゃがお前がいたからわしゃ宙へいけた。
お前が地球にいてくれたからわしゃ後ろを振り返らず走ってこれたんじゃ。
「辰馬ァ！！」
ほら、お前はやっぱり優しい。
第六十六訓「俺、実は泳げねェのよ」→←第六十四訓「暑い時期の水は命の水」
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撫子(プロフ) - 美結菜さん» 初めまして美結菜さんお返事と更新が遅くなり申し訳ございません。ありがとうございます！！少しずつの更新ですががんばります！！ (2023年5月7日 18時) (
レス) @page22 id: ba69f6c565 (このIDを非表示/違反報告)
美結菜 - とても面白いです！続き楽しみにしています！ (2023年2月14日 20時) (レス) @page21 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
撫子(プロフ) - 十六夜さん» 初めまして十六夜さんお返事と更新が遅くなり申し訳ございません。夜ちゃんと寝れてるようなら何よりです。続きを楽しみにしてくださりありがとうございます！ (2022年11月23日 16時) (レス) @page20 id: ba69f6c565 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続き気になりすぎて夜しか寝れません!!!更新待ってます！ (2022年8月4日 21時) (レス) @page20 id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
撫子(プロフ) - 遠井茜さん» 初めまして遠井茜さん。ありがとうございます！作品と共にイラストまで褒めて頂けるなんて嬉しいです！更新は遅いですが書き続けていきますのでどうかよろしくお願いします！ (2021年8月9日 12時) (レス) id: ba69f6c565 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：撫子 | 作成日時：2020年11月15日 18時
