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拝啓 何かを抱える先生へ ページ34

 拝啓 何かを抱える先生へ










 A 視点


伊地知
「 夏油傑、呪霊操術を操る特級呪詛師です。 」


伊地知
「 主従制約のない自然発生した呪いなどを取り込み操ります。 」


伊地知
「 設立した宗教団体を呼び水に
 信者から呪いを集めていたようです。 」


伊地知
「 元々所持していた呪いもあるハズですし、
 数二千というのもハッタリではないかもしれません 」


夜蛾
「 だとしても統計的にその殆どが二級以下の雑魚、
 術師だってどんなに多く見積もっても五十そこらだろう 」


五条
「 それが逆に怖いところですね 」


五条
「 アイツが素直に負け戦を仕掛けるとは思えない 」


夜蛾
「 ガッデム!! 」


夜蛾
「 OG、OB、それから御三家、
 アイヌの呪術連にも協力を要請しろ 」


夜蛾
「 総力戦だ、今度こそ夏油という呪いを完全に祓う!!! 」


A
「 … 」


五条
「 … 」










 ガコン、と音が鳴り長く骨ばった指がソレを掴み、僕に投げる。


五条
「 ほら 」


A
「 …ありがとうございます… ( いちごミルク… ) 」


五条
「 ん、… 」


 俺たち二人は自販機の横に設置してあるベンチに腰掛けた。


 互いの手にはいちごミルクのパックが持たれている。


A
( あんま飲まないんだよな…甘ったるいの、 )


A
( まぁ、五条先生の奢りだし良いや )


 ちぅ、とストローを刺して吸えば、
 口内には甘ったるいの液体が流れてくる。


A
「 …五条先生、どうしたんですか。 」


五条
「 ん?どうしたも何も、 」


A
「 夏油傑、彼の名前を誰かが言う度に
 五条先生の様子がおかしいと思いまして、 」


A
「 生徒の俺が突っ込むのは野暮かもしれませんがね… 」


五条
「 … 」


 五条先生はまた一口、といちごミルクを飲んで口を開いた。


五条
「 傑は僕の高専時代の同期だった。 」


A
「 !…家入さんとも、ということですか…? 」


五条
「 そう、硝子と傑、そして僕、 」


五条
「 だけどアイツはいつからか塞ぎ込むようになって…
 一般人を殺し始めた。 」


A
「 … 」


五条
「 僕も最初は嘘かと思ったよ。
 …だけど、傑は本心らしかったんだ、 」


五条
「 非術師のいない世界をつくる、ってね。 」


A
「 …その結果が今の状況、ですね。 」


五条
「 うん、…我儘なんだからぁー 」


A
( 我儘なのは果たしてどちらでしょうね。 )

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/72190cc3072/  
作成日時:2024年3月25日 20時

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