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***




あー


さっきのカズマってマジで誰だよ




鼻歌交じりにご飯をよそってる姿にニヤつきたい気持ちと、さっきのことに拗ねたい気持ちが混ざる





…てかこのスウェットも男物だよな





これ、着てていいよ

そう手渡されたのは折り跡が着くほど折られたままだったらしいスウェット






いや、さすがにいまカレシが居たら俺は襲った変質者だ。いや、襲ってない… 襲ったわ…


…元カレ?






ふわふわと湯気をあげるお味噌の匂いにつられて、俺の思考も一旦ストップ







『おかわり、必要だったら言ってね』






この数日で
Aはすごい勢いで俺を惚れさせに来てる


熱出した俺を、重いだろうに家まで連れてきて看病してくれて洗濯までして飯まで作ってくれて。



お店で見るような服じゃなくて、フーディパーカーを着てる姿も新鮮で刺さる









「うーまっ」



『ほんと?よかった〜』







けどなんか


… さっきから、目が合わない





気まずさ?恥ずかしさ?
なんかどれも違う気がする









「マジうまい、ありがと」









本当に色々感謝しねぇと

そう思って伝えた言葉のはずなんだけど、




どうして


そんなつらそうな顔すんだ?







食べてる場合じゃないわ


堪らなくて、
向かいの席から横に移った








『 っ、』







ひとつ

またひとつ



ぎゅっと瞑った目から涙が零れた




手を引いて

小さい体を胸の中に閉じ込めて





優しく

背中を撫でた




ぎゅっと服が握られたのを感じる









『 っ… シュウ、… 』









その口から零れた名前は

聞き返していいの?



ドクンと鳴った心臓に気づかないフリをした








.
.
.








『 … っごめんね、、 』



「全然。こんくらいさせてよ」







弱々しくて震える声が

助けてって言ってるみたいに聞こえる




なに、できるかな
少しでも気が紛れる、バカだなって思ってもらえること。


直人さんとか健ちゃんなら
すぐに笑わせてんのかなって








『おみくん…』



「ん?」








腕の中から覗いた顔

涙のあとが薄く光っていた







『もう、少しだけ、、ぎゅって、して欲しい … 』






またひとつ

頬を伝った涙を優しく拭った









「ん。ずっとしてようよ」



『 、ぅん…ありがとぅ、』









消え入りそうな声

このまま消えちゃわないように、
またぎゅって抱きしめた









***

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作者名:miu:miku | 作成日時:2020年9月15日 22時

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