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…
『 ッ、… はぁっ』
腕の中で泣いてたAが顔を上げ
目が合ったら 少しだけニコリと笑った
次第に暗くなる外に目をやった
『 聞いてくれてありがとう 』
ランプにあてられた顔は涙が反射して
キラキラしていた
「 … こんな大事なこと
話してくれて、ありがとう 」
ゆっくりとこぼれた一粒を
優しく拭ってやると、少し苦しそうに でも優しく微笑んだ
デザート、食べちゃおう?
食べかけになってたお皿の上をみて2人で小さく笑っう
.
「 Aちゃんと
その、お付き合いしてるの…?」
メイクを治すため、Aが席を立ったとき
入れ替わりに四ノ宮さんが来て
隣の席に腰をかけた
「 … まだ言えてないっす 」
ガシガシと頭をかいた
抱えてるものがあることは、さすがに気づいてたけど
内容も知らずに一緒にいたいとか
守りたいとか信憑性無さすぎっしょ…
なんて思ってたら、機会を逃しまくってた
「ふふ、急かしてる訳じゃないし
無理に付き合えってことじゃないわよ?」
悪戯に笑った
四ノ宮さんも
折れてしまったAを支えたひとり。
「 前にお付き合いした人は、
Aちゃんを大切にしてくれる人ではなかったから…
すごく心配になってしまって…。
お節介なんて事は分かってるんだけど… 」
四ノ宮さんはレストルームがある方を
じっと見ていた
周りの人を、人一倍大切にするAは、その分たくさんの人から愛されてたんだって実感する
「きっと、…お節介なんかじゃないです
少しでも自分を心配して、大切にしてくれる人がいることは本当に支えになります 」
「 っそう、かしら … 」
口元を押さえた四ノ宮さんの目元は
キラキラとランプを反射した
「Aちゃん、また歌いはじめるって本当?」
「少しずつ、頑張ってます
歌いたいって言ってました。
いまは作詞メインですが、
…今度ある俺のソロツアーで歌う予定です」
復帰に向けて
また歌うために頑張る姿を、絶対に届けたいと思った。
逃げずに、ヒロさんに宣言したAの強さを信じたい。
「 … みんなで、大切にしてあげてね 」
目じりにシワを寄せて優しく微笑んだ四ノ宮さんが、頭を下げるから、つられて俺も頭を下げた
『 … ふふ、何してるの? 』
いつの間にか隣に来てたAが、そんな俺たちをみてクスクスと笑った。
***
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作者名:miu:miku | 作成日時:2020年9月15日 22時