111話 ページ11
ut「Aちゅわーん！」
『なにー？』
ut「ちょっと部屋来て〜！」
さっきゾムから大先生が呼んでいるとの話を聞いたが、すっかり忘れていた。
夜ご飯を食べ終わった後、部屋に帰ろうとすると、大先生に引き止められた。
招かれて入った彼の部屋は意外にも物が少なく、しっかりと片付いていた。
部屋の隅では、ゲージの中で真っ白いウサギが青い果物をがりがりと齧っている。
ut「ケーキ好き？」
『うん！好き！』
ut「座って待っててなー。」
『はーい。』
返事はしたもののソファーには座らず、ウサギのゲージに近づくと、ウサギは果物を齧るのをやめて私をじっと見つめた。
______なぁに？なんで見てるの？これ食べたいの？
ウサギが鼻を少しだけひくひくと動かしながらそう言った。
可愛いなと思って近づいただけだから、別に青い実が欲しいわけではない。
『ありがとう、でも大丈夫だよ。あなたは大先生にお世話してもらってるの？』
______そう。あ、Aちゃん、ゲージ開けて。
『なんで私の名前知ってるの！？』
______私は何でもわかるのよ。
言われるがままにゲージを開けると、ウサギは私の頭の上に飛び乗った。
今までこんなスキンシップをされたことがないから、正直びっくりしたが、これは家族として飼われているからこその行動なのだろうか。
ut「ケーキ持ってきたよ、って、何何何何！？」
『仲良くなった。』
ut「座っといてって言ったやんか〜。」
大先生はケーキとお茶をテーブルの上に置いて、私の頭からうさぎを退かした。
彼に促されてソファーに座ると、目の前に紅茶とケーキが出された。
何の用があって部屋に呼んだのかは分からないが、大先生はなかなか本題を切り出さなかった。
ずっと世間話ばかりしている。
もしかしたら本題というものを見落としていたのだろうか。
ut「あ、そういえばAちゃん、最近ゾムと何かあった？」
『最近…さっきダンスのレッスンの時に一緒に踊ったくらい、かな？』
ut「ほら、昨日の夜とか。トントン心配してたで。その、何？食害とか受けてなかったかなーて。」
『あぁ、昨日の夜は、ゾムと一緒に寝たよ。でも私もすぐ寝ちゃったし。』
大先生の瞳が、一瞬だけ紅くなった気がした。
でも彼の瞳はいつもの暗いブルーだし、眼鏡の反射かなんかで紅くなった気がしただけだろう。
私達はその後も夜遅くまで世間話で盛り上がった。
そして私は大先生の分のケーキも食べた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「軍パロ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風太(プロフ) - ダリア太郎さん» わわわ待っていてくれてありがとうございます、、、作者多忙でしてひと段落着いたらまた更新するかと思われるので気長に待っていて貰えればと思います(´∩ω∩｀) (2020年6月22日 23時) (
レス) id: 1ce02552d8 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア太郎 - 更新しないんですか（ ｉ _ ｉ ） (2020年6月22日 22時) (レス) id: db84d391e7 (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - ぱんさん» どうぞ！！！（輸血パック） (2019年9月4日 7時) (レス) id: 68876f6c16 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん - 何してくれるんだ！鼻血がとまんねーよ！ (2019年7月24日 20時) (レス) id: afe6fa3e2d (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - あっぷるさん» コメントありがとうございます！！！更新頑張ります！！！ (2019年4月7日 9時) (レス) id: 4133c0f6d0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
