82話 ページ32
A side
目が覚めたら、毎度のことだが医務室のベッドの上だった。
ただ、この間のようにゾムは隣にはいなかった。
ベッドの隣に座っていたのはトントンさんで、私の頭を優しく撫でていた。
tn「っあ！起きた！」
『と、トントンさん！ごめんなさい、私っ！』
tn「心配したんやで…？」
上半身を起こした私に抱きついたトントンさんの肩と声は、震えていた。
今まで見たことのなかった弱いトントンさんの姿に何と言葉をかけていいかわからなくなる。
段々と声に嗚咽が混じり、鼻をすする音まで聞こえてきた。
より一層強く抱きしめられて少し息苦しいが、ぽんぽんと彼の背中を優しく叩いた。
『トントンさん、戦争はまだ続いているんですか？』
tn「…続いてる。戦闘面ではほぼ互角やねんけど、」
そこで、トントンさんは言葉を詰まらせた。
私を抱きしめるのをやめ、目をしっかりと合わせながら、言葉を探すように少しだけ考え込んでいる。
彼の目はグルッペンさんと同じように燃えるような紅だが、いつも強気なその目には涙が浮かんでいるし、目の下のクマはいつもよりも濃くなっている。
眼鏡は外していて、髪も少しぼさっとしていて大先生みたいになってしまっている。
私が眠っていた間も、戦争で大変だったんだろうか。
『何か、あったんですか？』
tn「Aが前線から外れた日、つまり五日前やな。その日に隣国からゾムとひとらんらんを捕らえたと連絡が来た。」
『…え？』
tn「俺らも頑張ってはいるんやけど、やっぱり戦闘区域から隣国側には行くことができなくて困っとる。」
もう身体はどこも痛くない。
それに、隣国にあまり存在が知られていない私なら、ゾムとひとらんらんさんを助ける為に、隣国に潜入できるかもしれない。
『私が、行きます。』
tn「ちょ、まだ病み上がり、」
『私たちは、仲間なんです。』
大切な、仲間という存在を教えてくれたひとらん。
どんな時でもそばにいてくれて、一人じゃないんだということを教えてくれたゾム。
彼らはまだ生きているという根拠のない自信を持ちながら、私はトントンさんの制止を振り切ってベッドから出た。
だめだとは言ってもトントンさん、貴方だって大切な仲間を助けたいって思ってるはずでしょ。
私の考えを汲み取ってくれたのか、もう止めなくなったトントンさんと一緒に医務室を出て、総統室に向けて早足で歩いた。
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Rionn(プロフ) - この小説すっごく面白いです！こんな面白い書類を作っていただきありがとうございます！ (2020年3月12日 11時) (
レス) id: 468eefd495 (このIDを非表示/違反報告)
Rionn(プロフ) - この小説すっごく面白いです！こんな面白い書類を作っていただきありがとうございます！ (2020年3月12日 11時) (レス) id: 468eefd495 (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - ネコミミ七つさん» どういたしましてです！私の貧弱な語彙で理解していただけてとてもうれしいです！小説是非読ませていただきますね！ (2019年2月11日 19時) (レス) id: 7df3c67554 (このIDを非表示/違反報告)
ネコミミ七つ - ありがとうございます。バッチリ理解できました。 あ、あと私ネコの大罪という名前で小説を書いてるんでよかったらみてくださ((殴 (2019年2月11日 19時) (レス) id: 340e6375ee (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - ネコミミ七つさん» ですが、この作品ではメンバーが死に至るという表現をする予定がありませんので、不老不死だという認識を持っていただければと思います。曖昧な設定で申し訳ないです、、。今後とも本作品をよろしくお願いいたします。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: 7df3c67554 (このIDを非表示/違反報告)
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