80話 ページ30
あれから何時間経ったのだろうか。
周りには幹部の姿はなかったものの、兵士の姿はちらほら見て取れた。
憔悴しきって茂みに隠れていると、すぐ近くに味方兵が一人、私と同様に茂みに隠れていることがわかった。
『ごめんね、あなた、怪我はしてない？大丈夫？』
「…っ！あ、Aさんでしたか！お疲れ様です！怪我は、大丈夫です！」
兵士は引きつった笑顔でそう答えた。
でも、何か引っかかることがある。
なんとなく、無理をしているような、そんな感じがするのだ。
こういう時に、大先生の能力があったらどれほど楽になるだろう。
だが、味方とはいえいつでも近くに居てくれる訳ではない。
あれだけ近くにいてくれて、支えてくれたゾムでさえ今は近くにいてはくれないんだ。
そう思えば、急に心細くなってきて、自然と目頭に熱が込み上げてくるのがわかった。
「だ、大丈夫ですか！？」
『うっ、だ、いじょ、ぶ！がんば、ってね！』
涙を見られぬよう、兵士に背中を向けて走り出し、矢を放った。
それでも涙で目の前が霞んで狙いが定まらない上に、命中しているのかもわからない。
さっきの兵士が追いかけてきていたようで、後ろで何かを言っている声が聞こえるが、全く頭に入ってこない。
rbr「やっ、なにしとんねん！」
『ふぇ…！？』
突然、ふわっと体が宙に浮かぶ感覚と、耳元で聞こえるロボロの焦った声がした。
『え、どうし、て、』
rbr「あんなど真ん中で何もないところに居たらまじで危ないで！血塗れだし…。」
『血塗れ…？』
rbr「え！？気づいてなかったん！？怪我も相当酷そうやから、無理してるんやないかなって思っとったんやけど。」
ロボロは私と一緒に目立たない林の中におりたって、インカムでぺ神を呼んだ。
数秒後に、ぺ神が何処からともなく飛んできて、ゆらりと目の前に着地した。
トントンさんやグルッペンさんのように背中に翼があるわけでもないし、ロボロのようにマントをつけているわけでもない。
snp「ありゃりゃ！Aちゃんそんな無理しないでもいいのに。はい、お腹見せて〜。」
『ぺし、ん、眠い、』
snp「えぇ？だめだよぉ。寝ないの！」
ぱしぱしと頬を叩かれるが、仲間を見つけた安心感からか自然と目が閉じてしまう。
ロボロもぺ神も慌てているようだったが、何がそんなにだめなのだろうか。
仮眠を取るだけだし、少しだけ寝させてもらおう。
いつのまにか、私は目を閉じていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 575人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rionn(プロフ) - この小説すっごく面白いです！こんな面白い書類を作っていただきありがとうございます！ (2020年3月12日 11時) (
レス) id: 468eefd495 (このIDを非表示/違反報告)
Rionn(プロフ) - この小説すっごく面白いです！こんな面白い書類を作っていただきありがとうございます！ (2020年3月12日 11時) (レス) id: 468eefd495 (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - ネコミミ七つさん» どういたしましてです！私の貧弱な語彙で理解していただけてとてもうれしいです！小説是非読ませていただきますね！ (2019年2月11日 19時) (レス) id: 7df3c67554 (このIDを非表示/違反報告)
ネコミミ七つ - ありがとうございます。バッチリ理解できました。 あ、あと私ネコの大罪という名前で小説を書いてるんでよかったらみてくださ((殴 (2019年2月11日 19時) (レス) id: 340e6375ee (このIDを非表示/違反報告)
風太(プロフ) - ネコミミ七つさん» ですが、この作品ではメンバーが死に至るという表現をする予定がありませんので、不老不死だという認識を持っていただければと思います。曖昧な設定で申し訳ないです、、。今後とも本作品をよろしくお願いいたします。 (2019年2月11日 19時) (レス) id: 7df3c67554 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
