寝床─貴方目線─ ページ6
「ふう……っと、あれ?」
私がお風呂から上がると、恋失は私が来たことには気付かず、黙々と本に向かって視線を動かしていた。
「なんだありゃ、完全に入り込んじまってる」
ふう、と呆れたような、少し嬉しそうな声色をしながらシロさんは言う。
「そーだね、しょうがない、私達は先に寝とこうよ」
「ああ……でもよ、A。どこで寝るんだ?」
シロさんは軽いあくびをしながら、キョロキョロと周りを見渡し出した。
寝るクッションくらいは作ってあげよう。
と、思い立ち上がるとシロさんは口を開く。
「テメェらの寝る場所無くね?」
「ベッドで寝るつもりかよ!?」
「まー、新しい寝床買うまで、別に隅っこなら使っても構わねーけどよ」
「アンタほんといい性格してるね、ちなみにアンタの寝るところはそこ。
これ決定ハイ決定」
スッと、ハート型でピンクのクッションを指差すと、シロさんは少しギョッとした仕草をした。
「な、なんだテメェ……ハート型でピンクとか微妙にセンス良いじゃねぇか……」
「気に入ってもらえたみたいで何よりです」
「ちょっと試しに……なんだよこれ!この肌触りと感触最高じゃねぇか!フィット感も抜群だよ!!喧嘩売ってんのか!寝心地抜群だよくそが!」
お試しにクッションにのると、とりあえずお気に召したようで体を丸めて寝る体制に入るシロさん。
私も恋失の邪魔にならないようなところで小さく丸まった。
「んじゃあお休みな、A」
「おやすみ、シロさん」
その言葉と同時に、私は襲ってくる睡魔に身を委ねた。
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作者名:中学生なのに暇人 | 作成日時:2014年9月7日 22時