一生一緒 ページ3
「しっかしあの歌、くっそ下手だったな」
「んなッ!」
突然予想外の悔蔑を食らい、しどろもどろになる黒音。
「最悪だ、最悪。英語の発音はめちゃくちゃだし、リズムはテキトー、メロディは自作し出すし、歌詞があやふやになってAに助けてもらってたし、Aは人間よりもまだマシだった、が、まだ素人、音楽舐めすぎだ」
「そんな……」
「でも──嫌いじゃなかったぜ。ブラーボ」
にやり、と猫に似合わぬ表情で笑い、シロさんは毛繕いを再開した。
「えへへ」
「だからお前、顔に出やすすぎ……」
「シロさんは声に出しすぎだよーえへへ」
「「扱いやすッ!」」
Aとシロさんが同時に叫び、黒音はいかんいかんと首を横にふる。
「もちろん、次もあんな糞みたいな歌い方だったら、ステージから蹴り落としてやるからな」
「え?シロさん、今次って言った?」
「ん、ああもちろん。次のライブの話だよ」
「ちょっと待って!?」
Aは思わず数歩後ろに後ずさりしながらシロさんに疑問を投げつける。
「……まだ続くの?」
「は?ったりめーだろうがよ。俺はテメェらをスターにするぜ。言ったはずだ、俺と《想像世界》の王になれってな」
「拒否権は?」
「ない。ってか、定期的に歌わないとお前ら死ぬぜ?」
「どういうこと?」
「俺は《魂曲師》でお前らは《心歌師》、俺が魂を貢ぎ、お前らは心を捧げた。俺とお前らはもはや切っても切れねー関係だぜ。契約した以上もう俺もお前らから離れることはできねーんだよ」
お前らが死ぬまでな、と物騒な言葉を付け足すシロさん。
その言葉に反応するA。
「私たちが……死ぬまで?」
「そうだ」
「じゃあシロさんは、死ぬまで私達の側に居るつもり……?」
「無論」
「私がどんな状況に陥っても?」
「無論」
シロさんはなんの迷いもなく言い切った。
深い、深いため息をついたAは、冷たい目でシロさんを見つめ、静かに呟く。
「……ストーカー」
「んだとゴラァッ!?契約したんだから仕方ねぇだろ!!」
「契約の前にもっと説明してよバカ猫!」
「テメェらもうちょっと遅かったら死ぬところだったじゃねぇか!」
「そこまで追い込んだのはシロさんでしょ!?」
ギャーギャーと口論を始める二人を、黒音は呆然としながら見つめる。
「なぁシロさん」
黒音が真剣な面持ちになったのに気付き、Aが口論を止める。
黒音はおそるおそる、口を開いた。
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作者名:中学生なのに暇人 | 作成日時:2014年9月7日 22時