喧嘩両成敗─貴方目線─ ページ2
「はぁ……お風呂で喧嘩なんてやめてよー、それも猫と」
「う、うぐ……痛い……」
時刻は2時58分。
お風呂でシロさんと恋失が喧嘩をしていたので、二人(一匹と一人)を私が戦闘不能にして事態はようやく収まった。
「てめぇ蹴られた腹まだ痛いんだけどどうしてくれんだよA」
「知らん、喧嘩してたのが悪い」
「あ？人間がいきなり襲ってきたんだよ……こちとら正当防衛だ」
「喧嘩両成敗って言葉知ってる？」
「殺すぞ」
ぬりぬりと、恋失のミミズ腫れしたところに薬を塗りながらシロさんの相手をする。
「そういえばシロさん……何でここに居るの？」
「そりゃどういう意味でだ？何で物語の中にいたお前らがここに居るのか、か？それとも、俺という存在はなぜ存在しているのだろう、って哲学的命題か？」
「当たり前に前者だよ」
「はぁ？お前らは俺とユニット組んだんだろ？なら一蓮托生、同じ部屋の下にいた方がやりやすいだろ」
「まさかここに住むつもりなの！？」
「あったりめぇだろ、じゃなきゃ誰が好きこのんでこんな豚箱選ぶかってんだ……って待て！毛繕い中は手を出すな！？」
恋失はシロさんにめがけて落とそうとしていた拳を下ろして、無言になった。
「それに、ここじゃなけりゃ俺はどこで飯にありつけばいい？どこで雨風をしのげばいい？どこで暖かい布団に包まればいい？ちょっとは人のこと考えろや」
「だからアンタ猫でしょ」
凄まじく自分勝手な言葉を並べた猫にツッコミを入れると、先程まで大人しくしていた恋失が口を開いた。
「シロさん……お前何者なんだ？」
「俺は俺だ、それ以上は自分でもよく分からん」
「何で俺たちの前に現れたんだ？」
「とある人間にお前らを紹介されてな」
「それは誰ですか？」
「人間の名前なんていちいち覚えてられっかよ、バカが」
「それではなぜAのことは名前呼びなのですか？」
「覚えやすかったからだ、特に意味はない」
「私たちを希望した理由、志望動機はなんでしょうか？」
「ない。強いていうなら面白そうだったから」
「貴方がわが社に入った暁にはどのようなことをお考えでしょうか？」
「お前たちを利用して、俺の曲で世界を魅了する」
「……迅速に出てってくれますか？」
「まぁ落ち着け人間、仲良くやろーや」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：中学生なのに暇人 | 作成日時：2014年9月7日 22時
