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命令 ページ42

「それで、受けた命令は?」

沙羅は答えず下を向く。

そのまま何分か過ぎたが、答える気配がない。

耐えきれなかったモンゴメリはもう一度質問を復唱する。

「・・・・・・貴女を独りにさせないこと」

とても小さな声で沙羅は呟く。

でもモンゴメリに聞こえるには十分だった。

カッとなってモンゴメリは立ち上がる。

「じゃあ貴女は命令だからあたしと一緒に居たの!?」

「違う」

「違わないじゃない!

だってあたしを独りにさせない為なんでしょ?貴女が傍に居たのは!」

まあまあとトウェインがモンゴメリをなだめ、もう一度座らせる。

「確かに、孤児院で貴女の傍に居たのは命令だったから。

でも、貴女が組合に入った時点でその命令は遂行された。

仲間が出来て一人ではなくなったから」

「じゃあ何で未だ傍に居るの」

「命令を遂行した後は、自由にするように主から云われた。

消えるも良し、何処かへ行くも良し、貴女の許へ残るも良し。

その中でわたしは貴女の許へ残ることを選んだ。

わたしが貴女の許へ残ることを望んだから」

そのまま暫くお互い無言になる。

トウェインは起きては居るが、完全に意識は遠くへ行っていた。

「何で先生はあたしを選んだの?」

お互いに無言に堪えきれなくなり、モンゴメリが訊ねる。

「貴女を救えなかったことを後悔していたから。

貴女の異能を見つけたのは孤児院では主が最初だったの。

当時は未だ大戦が終わったばかりで異能者の存在は恐れられていた。

そんな中で主は同じ異能力者として、孤児院の教師として貴女を救えなかったことを後悔していた。

だからせめて独りにはしないように作られた」

そう、とモンゴメリは呟く。

この時既にトウェインは寝ている。

机に突っ伏して完全に寝ている。

「なぜ貴女は日本人なの?

先生が日本好きだったとか?」

「わたしを作る時に偶々日本の事を取り上げられたテレビが付いてたから。

この姿は貴女と出来るだけ反対になるようにイメージしたら逆に似てしまったらしいわ」

呆れたような笑みを浮かべて沙羅は云う。

それにはモンゴメリもクスリと笑う。

「異能生命体と云う点を除けば、普通の人間と全く変わらないわ。

好き嫌いするし、勉強するし、成長する」

「それは知ってるわ」

「あと聞きたいことは?」

沙羅の質問にモンゴメリは無いわ、と首を振る。

訊きたいことは凡て訊き終わった。

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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月19日 21時

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