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勝負 ページ26

「残ったのは三人だけ?」

皆逃げた後、呆れたように彼女は云う。

アンと呼ばれた人形は少女の回りをくるくると回り、少女はアンに手を伸ばしている。

甘えん坊と云うのは本当らしい。

ん・・・・・・?

先刻彼女は三人だけと云った。

振り返ると白衣を着た男性が床に座り込んでいた。

「此処は危険です。

逃げた方がいい」

彼女を視界に捉えたまま僕は男性に忠告する。

相手がどんな風に挑んでくるか判らない以上、守りきれる自信が正直無い。

「女の子を捜して居るんだ。

天使の様に可愛い子なのだよ。

何処かで見なかったかな」

そう云って男性は懐から一枚の写真を見せる。

そこに写っていたのは沢山の人形に囲まれ楽しそうに笑う金髪の少女。

十歳に足るか足らぬか、と云う位だろうか。

「いえ・・・・・・

残念乍ら」

そんな少女は見たことがなかったので僕は頸を振る。

「エリスちゃんと云う名でね。

もう目に入れても痛くない位愛らしいのだよ!

あ、真実に入れたら少し痛かったがね。

兎に角この娘と逸れて、私はもう気が気で無くって・・・・・・」

ああ、こういう人を親馬鹿って云うんだな。

こんなにも愛し愛されているなんて。

と云うか目に入れたって何処をだろう。

指の先かな。


「あの扉の向こうに居るかもしれない。

若しそうなら逃げたら私は一生後悔する。

だから私も残るよ」

「・・・・・・

判りました」

僕は頷いた。


「ルールは簡単よ!

可愛いアンと追いかけっこをしてタッチされたら皆さんの負け」

少女の回りを旋回する事を辞めたアンは彼女の傍に戻る。

「捕まる前にその鍵でドアを開ければ皆さんの勝ちよ。

人質をみんなお返しするわ」

彼女の言葉と同時に僕達の前に金色に輝く鍵が現れる。

「それで参加されるのは誰?」

「二人同時でも良いのか?」

谷崎さんの横に並ぶ。

「勿論宜しくってよ

お遊戯はみんなの方が楽しいもの」

彼女は嬉しそうに手を合わせる。

「相手は君だけ?

そこの彼女もアンを持っている、なんて事は」

訝しげに少女を見ながら谷崎さんは云う。

「そこは安心なさって。

沙羅の異能は貴殿方を此処に連れて来るだけだもの。

沙羅はそこの叔父様が邪魔をしないように見張っていて頂戴」

少女は頷いて部屋の奥へ向かう。

男性もその後へ着いていく。

僕は安心して前を向いた。

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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月19日 21時

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