交渉 ページ20
「沙羅、着いたけど如何する?」
無事に目的地の武装探偵社に着いたから、あたしは鞄を開けて中に仕舞ってある人形を取り出して、沙羅に訊ねる。
「君も出て来て居給え」
出てきた沙羅が口を開いて何か云う前に、フィッツジェラルドさんに遮られた。
沙羅は渋々頷くとあたしの影に隠れる。
社に入ると色んな人達があたし達を見る。
その中に今回の作戦の要である白髪の少年を見つけた。
沙羅を見ると僅に頷いて了承の合図をとる。
「お嬢さん、一寸お話をしないかい?」
標的の横に居た包帯だらけの男性に声を掛けられた。
お嬢さん、と云われても此処には二人居る。
どちらの事か判らなくてあたし達は顔を見合わせる。
「あぁ、失礼。
私が呼んだのはそちらの人形を持っているお嬢さんだ」
沙羅の事か。
でも確か報告書によれば、彼は異能を無効化する異能を持っていた。
彼と居れば沙羅は逃げる事が出来ない。
「お断りするわ。
いきなり初対面の人にお話をしようと云われたって許すわけないじゃない」
沙羅を後ろに庇いながらあたしは云う。
「私は君ではなく後ろの彼女に云っているのだけれど。
其れとも君は彼女の凡てを決める権利があるのかい?」
「な・・・・・・・!」
カッと頭に血が昇った。
でも直ぐに彼の云っていることが正しいと気が付いた。
あたしは今みたいに沙羅の事を代弁してきた心算だった。
でも若しかしたら勝手に決めつけていたのかもしれない。
悔しくて俯き、唇を噛む。
「ルーシー、行こ。
団長さん達が待ってる」
沙羅はそう云ってあたしの背中を押して催促した。
「え、一寸」
「この子は何時も私の事を考えて、私の云いたいことを考えて答えてくれる。
彼女はわたしを縛ってるんじゃなくて自由にしてくれてる。
彼女を侮辱することは許さない」
沙羅はそう云うとあたしの背を押して部屋を移動した。
「有り難う」
云ってくれたことが嬉しくてあたしは呟く。
「事実だもの、お礼なんて要らないわ」
本当、最高の親友よ、貴女は。
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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年5月19日 21時