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買い物 ページ17

「此なんてどうかな、きっと似合うと思うけど」

「ああ、そうね、きっと似合うでしょうね」

何度も同じ台詞を聞かされ、何度も同じ台詞を繰り返す。

彼はそれに気付いていない。

彼の薦めで服飾店に来たけれど、あたしには彼と店員が異世界の言葉を話しているようにしか聞こえない。

何、バニエとかカラーとか。

沙羅はもうとっくに諦めて(飽きて)異能空間に籠ってる。

あたしも逃げたいけれど逃げたら彼が女性用の服飾店で一人話す不気味な人になる。

初日でそれをするのは流石に可哀想だから残ってる。

早く終わらないかしら、と思いながら周りを見る。

皆お洒落な服を着て、お洒落に過ごしている。

あたしとは大違い。

何人かがあたしの方を指しながらクスクスと笑う声が聞こえた。

きっと此の身形を笑っているんだわ。

場違いな継ぎ接ぎだらけの服を。

「気にすること無いよ、モンゴメリ。

彼女等が笑ってるのは君の後ろの、ヨガの格好をしたマネキンさ」

彼はにこりと笑ってあたしの後ろを指す。

振り返ってみると、片足立ちをして両手を頭上で交差させたマネキンが立っていた。

確かに此は笑える。

「で、此も君に似合うんじゃないかな?」

彼はそう云ってワンピースを差し出す。

「此の店に在るもので一番君に似合うと思うんだけど。

そこの試着室で来てみてよ。

あ、靴と靴下はこれ」

彼はそう云って何処からか取り出した靴達を差し出す。

あたしはそれらを受け取り試着室に移動する。

背後で沙羅にも同じように服を奨める声が聞こえた。

何時の間に沙羅は出てきたんだろう。



「どう、似合うかしら?」

カーテンを開け、前に居る二人に訊いてみる。

二人は無言で親指を立てた。

彼は満円の笑みで、沙羅は微笑んで。

似合う、と捉えて良いだろう。

「沙羅も凄く似合ってるわ」

沙羅は水色を基調としたワンピース。

抱えている人形の服も青を基調としたドレスに変わっている。

「流石僕、確りと二人と一つを引き立てられる服を選んだんだから」

どや顔で腰に手を当て、胸を張る。

「帰りましょ、沙羅」

あたしはその横を素通りして沙羅に声をかける。

「一寸待ってよ!」

背後から慌てた声と共に彼が追いかけてきた。

任務→←軽傷



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笹山花音(プロフ) - きなこさん» 最後まで読んでくださり、有り難う御座いました!大好きとは、嬉しい限りです。応援有り難う御座いました! (2017年8月21日 11時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 完結、おめでとうございます! この作品大好きでした。なので、ちょっと寂しくなりますね。これからも創作活動、頑張って下さい! (2017年8月20日 19時) (レス) id: b7dbad87d7 (このIDを非表示/違反報告)
笹山花音(プロフ) - ルルさん» 御指摘と感想有り難う御座います。直しましたが、此れで宜しかったでしょうか? (2017年7月20日 14時) (レス) id: 2d1a61fd05 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - 何度もすみません。時間の辺りから名前が沙羅のままになってます。 (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - タイトル入れ忘れてました。言語の所です (2017年7月20日 14時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月19日 21時

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