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告白 ページ29

「ねぇ、一つ訊きたいことが在るんだけど」

あたしは太宰を見ながら云う。

「何だい?」

「右腕、骨折でもしたの?」

あたしはそう云って太宰の右腕を指した。

太宰の右腕は、前以上に包帯ぐるぐるで三角巾で首から吊ってある。

「あぁ、これかい?

安吾の車に乗ってたら正体不明の車に突っ込まれてね」

・・・・・・ふぅん。

あたしは空を見上げる。

何時の間にか日は沈んでいて、星が瞬いている。

「星が綺麗」

ボソッとあたしは呟いた。

太宰が驚いた顔で此方を見る。

あたしは星に向かって手を伸ばす。

「あんなに輝いてて、近くに在るように感じるのに、本当はとてつもなく遠いところに在る」

そう云った途端、太宰がプッと吹き出した。

「何よ」

太宰を睨む。

「いや、真面目に考えた私が莫迦だった。

『星が綺麗』

君はこの意味を知っているかい?」

「そのままの意味じゃないの?」

「この言葉は普通、告白するときに使うんだ」

告白?

「ふぅん。

安吾の車のエアバッグに細工したのはあたしだよ」

そういうと、今度は腹を抱えて笑いだした。

何なの、もう。

「告白って云っても、そっちじゃあない。

恋愛の方の告白さ」

「ばっそういう意味で云ったんじゃない!!」

太宰の云った言葉を理解した瞬間、慌てて否定した。

多分、今のあたしは茹でタコのように顔が真っ赤だろう。

太宰は苦笑して「判ってるさ」と云った後、何かを呟いた。

けど、その声は直ぐ隣に居るあたしでも聞き取れないほど小さかった。

「後、君に一つ知らせなくちゃいけないことがある」

不意に太宰が云った。

「敦君と鏡花ちゃんが捕まった」

はぁ?

「一寸待って、それ如何いうこと?

何でそれを最初に言わないの?」

あたしは太宰に掴み掛かる。

「云っても如何にもならないからさ」

離し給え、と云われてあたしは渋々離す。

「敦君は組合に捕まって、今は上空の白鯨に居る。

鏡花ちゃんは軍警に捕まって、無人機で拘束中だ」

どちらも上空。

何も出来ることはない。

「大丈夫。

必ず二人とも助かるから」

太宰は当たり前のように云う。

太宰の予言は必ず当たる。

ならあたしは只待つしかない。

「許説、伝えたいことは伝えたから、私は行くよ」

太宰はそう云って立ち上がる。

「忘れるところだった。

何故君はその服を着て居る?」

「着せられた」

あたしがそういうと、太宰は苦笑して去っていった。

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設定タグ:文スト , 中島敦 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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笹山花音(プロフ) - コメント有り難うございます!!面白いなんて、嬉しいです。  深紅の瞳、読みました!とても面白くて、続きが気になる作品ですね。 (2017年4月1日 18時) (レス) id: 33f32af820 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - すごく面白いです!!!!更新頑張ってください! (2017年3月31日 23時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:笹山花音 x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月22日 21時

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