検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:35,485 hit

信用 ページ28

外に出たところで特にすることも無く、あたしはヨコハマの街を一人彷徨いていた。

勿論探偵社の人や組合の人に逢わないように、だけど。


特に何処にいく、と決めていた訳ではないが、気が付くと足は自然とある公園に向かっていた。

あの公園は、海がよく見える。

そして高台に在るため、眺めが良い。

だからあたしは気に入ってて、何かあるとあそこに行くことが多い。

「消えたい」

あたしは椅子に座って海を眺めながらボソッと呟いた。

あたしを信用してくれていた探偵社を裏切り、敵であるポートマフィアに就いたのだ。

マフィアでも、一回抜けた人が戻って来て幹部になった。

反感を買うことは間違いない。

探偵社もマフィアも裏切ったあたしは、きっと誰からも信用されていないだろう。

「なら、私と一緒に死ぬかい?」

横で誰かが座る気配がした。

「結構よ。誰かと一緒に死ぬなんて」

そこまで云ったとき、声に聞き覚えがある気がして、振り向いた。

そこに居たのは黒髪に砂色の長外套の男。

「太宰っ」

あたしは慌てて立ち上がり、逃げようとする。

「待ち給え」

然し、太宰に腕を捕まれた。

「離して」

あたしはそう云って手を振りほどこうとするが離してくれない。

観念して溜め息を吐きながらあたしはまた座った。

一人分間を空け、直ぐに立てるように浅く座ったが。

「何の用」

「君に社の事を報告しようと思ってね」

太宰は真意の見えない笑みを浮かべて云った。

「谷崎君と国木田君以外は、君の事を信じてる。

谷崎君は、君と逢ったのは初めてだから仕方ないよ。

でも、他の社員が君の良いところを沢山云ってるから悪くは思ってない筈だよ。

国木田君は、信じてる、信じてないじゃなくて予定が狂ったことにご立腹だよ」

太宰は苦笑した。

「そう。

何でそんなことをあたしに伝えるの?」

「君が気に掛けてると思ってね」

そのために態々ここまで来るとは。

呆れたが、少し嬉しかった。

太宰は何時もぴったりの機で現れる。

告白→←協定


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーアルファベット

X


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
設定タグ:文スト , 中島敦 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

笹山花音(プロフ) - コメント有り難うございます!!面白いなんて、嬉しいです。  深紅の瞳、読みました!とても面白くて、続きが気になる作品ですね。 (2017年4月1日 18時) (レス) id: 33f32af820 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - すごく面白いです!!!!更新頑張ってください! (2017年3月31日 23時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:笹山花音 x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。