呼び名 ページ24
Aside
「ふあぁぁ」
横で何かの気配がして、あたしは欠伸をしながら起きた。
ぼんやりする頭で回りを見る。
「うわぁ、久しぶり。
懐かしいな」
あたしはそう云って横に居た熊のぬいぐるみを抱き上げる。
彼女(ぬいぐるみに彼女なんて変なんて言わないで！)の名はツァリーツァ。
祖国の言葉で女王。
兄が名付け親。
兄と幼なじみからあたしへの最後の贈呈品。
孤児院でも、肌身離さず持ってた。
さすがに大きくなったからずっと一緒に居る訳にはいかなくなったけど、寝る時は抱き枕にしてた。
「この子が居るってことは」
あたしは視線を少しあげて、辺りを見る。
「矢っ張」
自然に笑みが溢れる。
横にある椅子に首領が腰掛け、脚を組んで静かな寝息をたてていた。
あたしはそっとベッドを抜け出し、首領が用意したのであろうドレスに袖を通す。
何年か前に着たのとかなり似ている。
だが、サイズが違うので仕立て直したのだろうか。
このドレスはあたしも割りと気に入ってて、よく似合うと言われていたから、これを選んだのだろう。
ただ一つ、気になることがある。
あたしは四年前に首領の守備範囲を越えた。
なのに何故、あたしにこれを着させる？
「おお、変わらず似合うね！
まるで水の精のようだよ！」
後ろのリボンを結ぶのに手間取っていると、いきなり声がして、驚いて飛び上がった。
「いきなり声をかけないで下さい」
結びかけていたのに、声をかけられた所為でまたやり直しになったから、声に不満が隠しきれていない。
「此方へおいで。
結んであげるよ」
「お願いします」
あたしは首領の許へ行き、背を向ける。
十秒もしないうちに「はい、出来た」と声がして、離れる。
「有り難うございます。
結ぶの、かなりn早くなりましたね。
前はこの倍くらいの時間掛かっていたのに」
ベッドに腰掛けながらあたしは云う。
「毎日エリスちゃんの着替えを手伝っているからね」
成る程、流石ロリコもとい、エリスの生みの親だ。
「別に此処には誰も居ないから、前みたいにしてくれて構わないよ」
苦笑しながら云う。
「判った。
『首領』・『森さん』・『リンタロウ』・『中年ロリコン野郎』・『叔父さん』
どれが良い？」
あたしは指を折りながら数え、聞く。
「懐かしいのがあるねえ。
じゃあ、昔みたいにリンタロウ」
「判った。
中年ロリコン野郎ね」
「一寸!？」
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笹山花音(プロフ) - コメント有り難うございます!！面白いなんて、嬉しいです。 深紅の瞳、読みました!とても面白くて、続きが気になる作品ですね。 (2017年4月1日 18時) (
レス) id: 33f32af820 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - すごく面白いです！！！！更新頑張ってください！ (2017年3月31日 23時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹山花音 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年1月22日 21時
