お気に入り ページ18
「失礼します」
あたしはそう云って執務室の扉を開けた。
「やあ、A君。
はやかったね」
驚いたことに首領は、エリスを追いかけ回して居なかった。
何と、机について仕事をしている。
「任務が終了したので、報告に」
「そうかい。処でA君」
「何でしょう」
「仕事を手伝って」
真面目な顔をするから何事かと思ったら。
「仕事とは？」
あたしは前に進み、首領の前にある書類を覗き込む。
そして云った。
「無理です
これらの書類は全て、首領のサインが必要じゃないですか」
首領は脱力して、机に伏せた。
「どの位溜めたのですか」
「・・・・・・一週間」
机に伏せた侭、ポソリと呟く。
今度はあたしが脱力した。
溜め息を吐かないように堪える。
太宰もマフィアの頃はよく書類を溜めていたけど・・・・・・
あの頃は太宰の性格故にと思っていたが、育ての親である首領を見て育った所為でもあるのだろう。
「では、サインをする前まではやりますので、首領は読んでサインをして下さい」
溜め息を吐かないように堪えていたが、吐いてしまった事に関して、あたしは悪くない。
あたしは書類を持てるだけ持ち、窓硝子の前にある皮張りのソファアに腰掛ける。
ここは街を一望出来て眺めがいいのだ。
首領もお気に入りらしく、よくここに座っていた。
今も、座りたそうに此方を見ている。
「座りたければ、仕事を終わらせて下さい」
あたしは書類を見ながら首領を一瞥する事なく、云う。
元は書類を一週間も溜めた首領が悪いのだ。
あたしは報告書を読み、誤字脱字がないか確かめ、判り易いように種類事に分けていく。
この間の組合襲撃によるポートマフィアの被害。
組合戦に依る混乱に紛れて、密入国した犯罪者集団『ザァバルク』に関する報告書。
今後の作戦の許可。
Aが避難壕に逃げたことに関する報告書。
事務所の裏手で・・・・・・ん？
「Aが逃げたぁ!？」
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーアルファベット
X
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
笹山花音(プロフ) - コメント有り難うございます!！面白いなんて、嬉しいです。 深紅の瞳、読みました!とても面白くて、続きが気になる作品ですね。 (2017年4月1日 18時) (
レス) id: 33f32af820 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - すごく面白いです！！！！更新頑張ってください！ (2017年3月31日 23時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：笹山花音 x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年1月22日 21時
