彼女と赤子 ページ7
「それは、ボンゴレの…！」
ドサッ
「はぁ……落ち着きなよ」
言葉を切った女性はふっと意識を遠のかせ、地面に崩れ落ちた。
それをした犯人は、高めの声を響かせ登場した赤子。
目元まですっぽり覆う、白い二本のラインが入った黒いフードに胸元には藍色のおしゃぶり。
やわらかそうな頬には逆三角形の紫のマーク。
そして頭には赤い目をした暗い緑色のカエル。
そう、この赤子の正体はかのアルコバレーノ、バイパーである。
「リリア」
今更ではあるが、彼女の名前はリリアと言う。
漆黒の髪、真紅の瞳と同じく、前世でも彼女の名はリリアであった。
南蛮好きな両親は娘の名を当時では奇抜なそれに決めた。
『…ふぅ。すまぬな、バイパー』
「僕が通りかからなかったら大変なことになっていただろうね」
皮肉気に返したバイパーだったが、リリアはいつものバイパーの照れ隠しだと認識した。
バイパーとの仲はつい最近―――といっても、ほんの二年ほど前だが。
前世の記憶を持っているとはいえ、赤子の姿では独力で生きることなど出来無い。
名ばかりの母親に生まれて早々に捨てられ数日経った頃、ふらりと現れたのがバイパーだった。
自身の超能力を使い、リリアと意思疎通をして世話を焼いてくれたのだ。
なんだかんだ言って甘やかしてくれるバイパーをリリアは好んでいる。
その表れか、リリアは腕にバイパーを納めて放さない。
「…幻術の腕は相変わらずだね」
『毎日の鍛錬のおかげじゃ！』
バイパーはリリアの奇術の師匠でもある。
喜ばしいことにリリアには奇術の才があった。
めきめきと術のレベルを上げていくリリアに対抗心を燃え上がらせたのか、バイパーと勝負をすることもあるほどだ。
『…のう、バイパー』
「なんだい？」
『ぼんごれとはなんじゃ？ それに、この炎も…』
リリアの右手が光に満ちる。
それを見たバイパーは慌てて止めた。
「ちょっ、危ないから止めて！」
『おお、すまん。ついの』
つい、で命を消されたらたまったもんじゃないよ…。
幾らか寿命が縮む思いをしたバイパーはひとつ息を吐き、それからリリアを見上げた。
「ボンゴレはね……マフィアだよ」
『マフィン？』
「はぁ…」
この子は人の話を聞く気があるのかな…。
真剣な、張り詰めた空気を壊したリリアはというと、ぽけーっとしている。
『(そういえば、数日前にバイパーから貰ったマフィンは美味じゃったのー)』
.
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霽月(プロフ) - 珠美さん» はじめまして! お褒め頂き光栄です。ありがとうございます! しっかり頑張りますね。 (2015年9月10日 0時) (
レス) id: 83e6391475 (このIDを非表示/違反報告)
珠美(プロフ) - はじめまして、すごく引き込まれました｡続きが気になります、身体に気を付けて、頑張ってください。 (2015年9月6日 17時) (レス) id: fade1e24b8 (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - 桜みるくさん» 閲覧頂きありがとうございます!わたしなんてまだまだですよ(笑)お褒めの言葉を頂いてしまったので是非とも頑張らせていただきますね。 (2015年7月26日 9時) (レス) id: 25f10af713 (このIDを非表示/違反報告)
桜みるく(プロフ) - 今日初めて読ませて頂きました！とっても面白いですね(*´ω｀*)羨ましいです……私もこれくらいかけるように……笑笑(*´-`)冗談は置いておいて……面白かったので続きを楽しみにしてす！頑張ってくださいな(*´∀`)♪ (2015年7月26日 6時) (レス) id: 3a3c083b04 (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - マシマロさん» きゃあ、お久しぶりです! 今回も読んでくれてありがとう!!これからがリリアちゃんのはちゃめちゃ人生のスタートになるので注目やで!! (2015年7月24日 11時) (レス) id: 25f10af713 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霽月 | 作成日時：2014年10月13日 19時
