彼女と神様 ページ2
それから幾月が過ぎただろうか。
ふわふわと、少女の魂はとある空間に浮かんでいた。
一面が真っ白の―――魂となった少女は当然のこと目が見えているわけではないが、感覚的に―――何も無い静かな空間だった。
叔父であった男との戦に勝利してから数十年、国主として君臨していた彼女は亡くなった。
死因は原因不明の病。
世間一般には伴侶をとり子を生み育て幸せに過ごしているであろう歳の頃だったが彼女にはそのような者は存在しなかった。
豊かで平和な―――時たま戦は有りはしたが全て快勝―――国づくりを進め、国中を駆けた。
彼女は文字通り、その身を英国の女王のように生涯を自国とその民のために捧げたのである。
自分が既に死んでいるという自覚のある彼女は不思議な思いに満ちていた。
生身の身体は無い筈だが確かに感覚は有り、思考するための領域も無くなってはいない。
病に堕ち朽ちてからというもの、この空間でひたすら脳裏に繰り返し起こされる映像―――自身の生涯だ―――を飽きる程見てきた。
一体どうしたことか。
最期に昔馴染みの緋色の戦人の手を力無く握ったところで彼女の人生は終わる。
それを最後に、また映像を見ることになるのかと溜息をつきたい気持ちになった瞬間のことだ。
彼女―――否、彼女の魂は何者かに優しく掬い上げられた。
『なんじゃ！？』
突然のことに驚いた彼女は声を上げたが、彼女の魂を掬い上げた人物は逆にその声に酷く驚いたらしい。
震えた両手が彼女の魂を思わず落としてしまいそうになった。
慌ててもう一度しっかり抱き直した人物は一息ついて彼女の魂に問い掛ける。
「…まさかとは思うけど、もしかして君……所謂 前世の記憶が残っているのかい？」
考えるまでもなく、自分は既に死んでいるのだから今迄見てきた映像は全て前世の記憶というものだろう。
一瞬の内に思考を巡らせた彼女は答えた。
『うむ！』
何処か愉し気に彼女が応えたのは気の所為ではない。
幾月も―――もしかしたら幾百年だったかもしれない―――誰も訪れることのなかったこの空間に初めての訪問者だ。
少しの退屈凌ぎにはなるだろうか。
「え…」
この状況を愉しむ彼女とは異なり謎の人物はあまりのことに絶句していた。
通常、生き物は死すると生の頃の記憶をすっかり無くし新たな生を歩むものである。
稀に記憶持ち―――彼女のような―――が存在するが、余程前世に未練が残っているのか、それとも個が強いのか。
頭を抱える人物。
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霽月(プロフ) - 珠美さん» はじめまして! お褒め頂き光栄です。ありがとうございます! しっかり頑張りますね。 (2015年9月10日 0時) (
レス) id: 83e6391475 (このIDを非表示/違反報告)
珠美(プロフ) - はじめまして、すごく引き込まれました｡続きが気になります、身体に気を付けて、頑張ってください。 (2015年9月6日 17時) (レス) id: fade1e24b8 (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - 桜みるくさん» 閲覧頂きありがとうございます!わたしなんてまだまだですよ(笑)お褒めの言葉を頂いてしまったので是非とも頑張らせていただきますね。 (2015年7月26日 9時) (レス) id: 25f10af713 (このIDを非表示/違反報告)
桜みるく(プロフ) - 今日初めて読ませて頂きました！とっても面白いですね(*´ω｀*)羨ましいです……私もこれくらいかけるように……笑笑(*´-`)冗談は置いておいて……面白かったので続きを楽しみにしてす！頑張ってくださいな(*´∀`)♪ (2015年7月26日 6時) (レス) id: 3a3c083b04 (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - マシマロさん» きゃあ、お久しぶりです! 今回も読んでくれてありがとう!!これからがリリアちゃんのはちゃめちゃ人生のスタートになるので注目やで!! (2015年7月24日 11時) (レス) id: 25f10af713 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霽月 | 作成日時：2014年10月13日 19時
