＊暴君 ページ6
日本からイタリアへ渡り、早くも1週間。
からっとしたあたたかい日差しの下、お気に入りの花柄ワンピースを着てレンガ造りの街中を歩いて行く。
大学での講義は午前のうちに済んだし、午後はしっかりイタリアを堪能しましょー！ おー！
心の中でひとり拳を掲げているとなにやら美味しそうな香りがしてきた。
むむっ、これはパンケーキのにおいですなっ！
丁度小腹も空いていることだし食べていこうか。
カランカラーン
かわいらしい赤いリボンのついたベルが鳴り響くドアを開けた先には……美人な店員さんがいた！
「いらっしゃいませ！」
営業スマイルとは思えない可憐な笑みにユキちゃんはロックオンされました！
早鐘を打つ心臓を押さえ、なんとかアイスがのっかったパンケーキを注文する。
命懸けとはこのことか…っ！
「Aセットですね。では、あちらのテラスでお待ちください」
美人な店員さんに言われたとーりに木が日陰をつくっている席に腰を下ろす。
と、誰かに後ろから肩に手をまわされた
「なぁなぁ、お嬢ちゃんひとり〜？」
ちっ、修行不足か。
気配を読む練習もしなくっちゃな…
「よかったらオレと一緒にお茶しなッ……がふぇっ！？」
気色悪いおっさんの顔を見ずに目潰しを仕掛けた。
ビンゴ！
奇声を上げてのた打ち回るおっさんを蹴り飛ばそうと脚を振りかぶりそのまま――――
ガスッ！！
『エッ』
おっさんをレンガ畳に放ったのは私ではなく、黒髪に真紅の瞳の彼だった。
そう……XANXUSである。
って、ええぇーー！！？
なんっでこんなお洒落で美人な店員さんがいるお店に暴君がいるのォ！？
これは夢！？ マジでありえない！
イタリアにやって来た初日にバッタリ会っちゃったとき以上の驚きだよ！！
なに、キミってばストーカーなの！？
「失せろ」
「ひっ、ひいぃ！！」
いや寧ろおっさんを退治してくれた恩人か……ハッ、ユキちゃんはマのつく職人には騙されないぞ！！
「……助けはいらなかったみてーだな」
横目でちらと私を見た彼はどかっと正面の椅子に腰掛けた。
てゆーかテーブルに脚をのっけちゃいけません！
お行儀悪いぞー。
『ううん。助かりました、ありがとう』
ここでお礼を言ってしまうのは日本人故なのか……トホホ。
私のマのつく職人には強気でいくぞ！ 作戦が初めから失敗するとは……不覚だっ！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪姫(プロフ) - エンマたちとのからみがほしい。ついでに雪兎とDの再会が見たい。 (2022年5月15日 3時) (
レス) @page36 id: eeb0e1af4c (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - コッペリアさん» 彼女は鮫が味方じゃなくても気にしないと思います。なので鮫はマーモンチーム。骸とクロームの霧組は一度は彼女側につこうとして本人に断られる光景しか思いつかない(笑)。嬉しいけど、そしたらヴェルデが孤立無援になっちゃうから。こんな感じです。長文失礼しました。 (2019年2月21日 13時) (レス) id: 0fb98c4da3 (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - コッペリアさん» でも次の大空アルコにユニがなれば再び呪いがかかる。そんな状況で彼女が動かない筈がない。彼女は原作通り、全員の呪いが解除される結末にしようとして勝手に行動するので鮫は置いてけぼり(笑)。でもまあ、ボス側とどっちにつくか迷わなくて済むからいいんじゃないかな (2019年2月21日 13時) (レス) id: 0fb98c4da3 (このIDを非表示/違反報告)
霽月(プロフ) - コッペリアさん» コメントありがとうございます。そして返信が随分と遅くなってすみません。さて、普通だったらコッペリアさんのように考えますよね。ところが彼女は普通じゃないので(笑)、知識として結末を知っている上で行動します。アリアの呪いは凍らせたのでユキに移行、 (2019年2月21日 13時) (レス) id: 0fb98c4da3 (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - ユキの呪いは短命ですし、やっぱり、好きな人を助けるためにそっちに着くんでしょうか…骸とクロームもですけど… (2018年11月13日 19時) (レス) id: 8fad14733d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霽月 | 作成日時：2014年8月31日 14時
