4話 ページ5
菜月side
いつもと違う布団の感触に目が覚める。
当たりを見渡そうと体を起こすと、体の節々が痛む。
ふと、首元を触ると布の感触がして、昨日の出来事は夢じゃなかったんだなと、思い知らされる。
そうしてぼーっとしていると、外から誰かが来る音がした。
慌てて布団に潜り込み、寝たフリをする。
?「.....あ、おきられたんですね」
誰だか知らない人は、見ただけて私の狸寝入りを見抜く。
そうなると起きなければいけないわけで、
菜月「...はい、あの、怪我の手当って...」
そう聞くと、男の子はニコリと笑って
?「はい、僕がやらせて頂きました。どこか痛むところとかないですか?」
男の子は安心させるように優しく聞いてくれたが、名前も知らない人に安心などしてもいいものかと考えていると、それを察したのか
伊作「あ!自己紹介がまだでしたよね?僕は保健委員会委員長の善法寺伊作です。」
と、丁寧に自己紹介をしてくれた。
名前にまたもや既視感があったが、こちらも何か言わねばと、
菜月「あ、丁寧にありがとう。えっと、私の名前は猫田菜月です。」
お互いの紹介を済ませたあとは、怪我の状態を見てもらった。
善法寺くんによると手と足の擦り傷は綺麗に治るが、首の傷は出血はそんなにしていなかったものの、傷自体はそこそこ酷いらしく、跡が残るとの事だった。
伊作「すみません。僕がもっと傷跡が残らないような手当が出来ればよかったんですが...」
菜月「そんなに気にしないで!大丈夫ですから。むしろ、手当してくれてありがとう。」
この首の傷程度で済んだのだ、感謝以外に何がある。
この言葉を聞いて安心したのか、強ばっていた顔が少し緩くなる。
菜月「ほんとにありがとう。この傷は何かで隠せばいいし、全然気にしてないから、善法寺くんも気にしないでね。」
否、嘘である。
首を隠すとかクソめんどい、夏暑いなどなど少しずつ昨日の知らんやつに腹が立っている。
そもそも、人に刃物持たせる場所って何?殺人鬼が集まる家か?は?と思ってしまうくらいにはムカついている。
そんなこと、この目の前の善法寺くんに言ったとてどうなることも無いのはわかっているし、人に、ましてや初対面の男の子にそんなこと言う勇気がないので、言わないけど
こんな意味不明な状況下でも、猫をかぶる自分にはほとほと呆れる。
善法寺くんに気を使わせないよう、ため息を吐きたいのを我慢して、笑顔を保った。
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零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月26日 20時) (レス) @page15 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なほなっつ | 作成日時:2022年2月12日 22時