Colorful stories 6（W.短編集）

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と、急に首を俺の肩にもたげて。


「なぁ…今日はちゅーせんの？」
「っ、」

返事する前に、俺の息子が返事したから、


「待って！」
「無理、待てへん！」
「ちょ、ちゅーて言うただけ！」
「ちゅーだけで終わらんやろ！」
「お風呂の中は無理！痛いもん！」
「誘ったのは神ちゃんやん！」


一緒に風呂に入るたびに神ちゃんを腰砕けにする罪で、前科十数犯。
疑念の目にも、開き直る俺。
それを見て、そろりと俺から離れようとする神ちゃん。



「あかん！隣も露天入っとるかも！」
「入ってへんかも！」
「声我慢するの無理！」
「それは！俺以外聞いたらあかん！」
「じゃあ、」

両手を広げて、抱っこのおねだり…

押しに弱いとこまでは、きっとみんな知ってる。
けど、押された結果絆されると、急に甘えん坊になる。
メンバーも知らない。
俺だけが知ってる神ちゃん。


抱きかかえて、びしょ濡れのまま布団に押し倒す。


「しげ…さむい、あっためて？」


うるうるの目で甘えるの、やめてもらってええですか…
せっかくの旅行。
行きたいとこはまだまだあるのに、明日神ちゃんが歩けへんかったら困るもん。




いつもは、優しくて穏やかでかわいくて。
ステージではめちゃめちゃかっこよくて。

そんな神ちゃんの俺にしか見せへん顔。



時計に目をやると、夕ご飯まであと一時間。


「時間足りひんわ…」
「ふふ。楽しみ」


伸びてきた腕に捕まると、甘ーいキスに溶かされる。
いざとなると、小悪魔に変身する。
俺だけが知ってる神ちゃん。



甘い甘い夜は、これから。

俺にだけしか見せない顔、
もっと見せてや。






「俺だけが知っている」fin.

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