Colorful stories 6（W.短編集）

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「しげ、帰るで！」
「神ちゃんやぁ〜」


のんちゃんが、呆れた顔でアイコンタクト。
“ずっとコレなんよ〜”って。


「俺の誕生日、祝ってくれるんちゃうの？」
「あ！そや！プレゼント…は買ってへんわぁ」


さっき流星から渡されたイヤホンを取り出してヘラヘラ笑うしげに見せると、一気に酔いが覚めたらしい。急に黙り込んでしまう。


「嬉しかった、しげ。ありがとう」
「……」
「帰ろ？」
「いやや、」

駄々をこねて拗ねた子どもみたいに、頑として動かない。
ほんま、何やってんねんやろ、俺ら。思わず頭を掻きむしる。



「あーほんまめんどくさっ！なんてこんなやつに惚れたんやろ」
「ほんまやで神ちゃん。けど、神ちゃんにはしげしかおらんのやろ？しげにも神ちゃんしかおらん。そうなんやろ？」
「ん」
「あー、もうええわ、のんちゃん」


頭に浮かんだ流星の笑顔に、鼻がツンとして…。
流星みたいにまっすぐ行けばええかって、心は一気にほどけてく。



「俺はしげが好き。しげは？」
「…すき、」
「誰を？」
「かみ、ちゃん、」
「まぁ、及第点ってことにしといたる」


手ぇかかる恋人ができたもんやな。それでもしげがええんやもん。しゃーないやん。
本日何度目かのため息を溢しながら、酔っぱらいの重い肩を抱えた。



でも、不思議と心は凪のように穏やかで。


その時、頭に浮かんできたのは、やっぱり流星の穏やかな笑顔やった。





「凪の魔法」fin.

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