Colorful stories 6（W.短編集）

続・そのままで　　2022.8.26 story ページ24

桃side



「……」

顔なんて見なくてもわかる。
そんなに肩に力入れて。拳握りしめて。

神ちゃんの告白現場になぜか居合わせたしげは、ガッチガチにフリーズしていた。

とりあえず、肩をそっと叩く。


「っこ！

すごい顔ですごい勢いで振り向いて叫びかけたから、手のひらでそのでっかい口を塞いで、踊り場から引きずり下ろした。







神ちゃんが昼休みに呼び出されたから、心配なって後をつけてきた。もちろん神ちゃんには内緒で。
相手は、どう見ても告白する気満々やったし、今回は男子やったし、ちょっと評判良うないヤツやったから。かわいい神ちゃんになんかあったらあかんし。

そんな時、俺より先に、屋上に向かう階段をこそこそと上ってったしげを見かけた。



2人で階段の陰に隠れて、無事何事もなく神ちゃんが教室に戻るのを確かめて、しげの肩に手を置く。



「なぁ、神ちゃんってやっぱモテるよな…？」
「モテるなぁ」
「マジかぁ…そらそうよな…」
「神ちゃんは言わへんけど、俺は4回は見た。呼び出された回数で言うたら、もっとやな」
「……」


顔が曇るってこういうことやで？ってお手本のように表情を変えたしげ。


「けど、いつも神ちゃんはっきり断っとるで？」
「いつか俺より好きなヤツが現れるかもしらんやん…」
「神ちゃん、しげにゾッコンやと思うけどな。自信持ちぃや！」
「…俺も告った時、一回フラれとんねん」
「マジで⁉︎」


衝撃告白。
今は、あんなに夢中に見えるけど。

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