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マグカップから上がる湯気が、少しずつ細く、見えなくなっていく。
しげの緊張が伝わって。
時計の音だけが響く部屋。
「俺、神ちゃんに嘘ついてた」
「俺、ゲイやないねん」
自分の想定してた中で、最悪のパターン。
実際目の当たりにすると、案外冷静でいられる。冷静って思ってるのは自分だけかもしれへんけど。
絶対泣いてまうと思ってたのに、涙が出てくる気配もない。
感情は意外にも落ち着いてて、それが逆に、しげに焦りをもたらしてるのも伝わる。
「おもろかった?」
驚くほどに冷たい声。
しげ、こんな俺見て、どう思うんやろ。
「そんなこと、
「珍しいもんな。男もなかなかよかったやろ?満足した?」
「神ちゃ、
泣かんとさよならできると思ったのに、もうすぐお別れやと思うと、どんどん熱くなる目頭。
笑ってバイバイなんて、無理に決まってる。
せめて、しげの中に残る、恋人としての最後の俺は、綺麗でいたかったのに。
「俺、楽しかったわ。久々にときめいた。幸せやったわ」
「しげ、大好きやった。今までありがとう」
ほんまの気持ちを口にすると、笑えてホッとする。
最後にしげの唇にふれたくて。
サヨナラのキスをした。
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作者名:7129 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時:2022年8月7日 17時