keep your doubt（JW赤×緑） (ページ18)

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帰りの電車は、人もまばら。
揺られながら、昔の恋をぼんやりと思い出す。

自分の恋愛対象が男やって気づいたのは、中ニやったなぁ〜、なんて。

中二の俺は、部活の先輩に恋をした。
一緒にいるのが楽しくて、どんどん距離は近づいてった。
放課後、部室に残ってしゃべったり、休みに家に行ったり。
先輩やけど、めっちゃ仲よかった。

そのうち、先輩に彼女ができた。
先輩の口から彼女の名前が出るたびに泣きそうやった。
初めて先輩の顔見たくないと思った。
でも、俺だけを見てほしいと思った。

「神ちゃん、それ、恋やろ」

一番の親友ののんちゃんが言った。
あんまりフツーのテンションで、「おはよー」くらい自然に言うから、あ、そーなんや、って。

俺、先輩のこと好きなんや。

腑に落ちて、楽になった。

と同時に、伝えられないこの気持ちに、苦しくなった。

「好きなら好きでええんちゃう？」

のんちゃんだけは知っててくれて、俺の気持ちを認めてくれて。
あの時俺を救ってくれたのは、間違いなくのんちゃん。

先輩が卒業するまでは、がんばって友達を演じた。

「先輩、卒業おめでとう！」
「神ちゃんと会えへんかなるとか、寂しすぎるんやけど」
「はいはい。そんなんええから、彼女大事にせなあかんよ？」

笑顔でバイバイできた。

俺の初恋は、のんちゃんのおかげで、苦いけど、悪くない淡い思い出になった。