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No.8 誘拐 ※ほんのちょっぴり流血表現があります。 ページ10

しばらくして満足したのか、先輩方は笑顔で去っていった。
「今度はどうなるか、分かってるよね〜?」
なんて三下の捨て台詞を残して。



「よっこいせ…っ!」


体を起こすと、節々が痛んだ。
いつの間にか切れていたらしい。
口の端から、生あたたかい血が顎をつたった。
口の中に鉄の味が広がる。
…まずい。
手の甲で血を乱雑に拭って、証拠隠滅を図る。
だるい、思い、痛い。
負の連鎖に苛まれていると、


「これはこれは、…瑚宵の嬢ちゃん。そんな所にしゃがんでいると、制服が汚れてしまうぞい。」


頭上から、鼓膜に響く透き通った声が聞こえた。
その声には十分過ぎるほど聞き覚えがあって、心做しか、前よりずっと、優しくなった気がした。


「零さん?」
「久しいの。変わりないかえ?」


倉庫の闇に綺麗に溶けた黒髪の魔王さま。
夏目の尊敬する"兄さん"の1人、零さんが優しく微笑んでいた。

「どうしたんですか?」
「いやなに、少し寄ってみただけじゃよ。そうしたら、嬢ちゃんに会えたのだから、散歩もバカにできんの。いや、運命と呼ぶべきか。
さて、そういう事じゃからの、嬢ちゃん。一緒に茶会をせんか?」


そういう事とはいったい…。
それに、茶会?


「どなたと?」
「我輩と日々樹くんと深海くんと斎宮くんじゃ。」


ちゃっかり仕込まれている。
夏目がメンバーに入っていない時点で、嵌められたと言っても差し支えない。


「特に用事はありませんから、構いません。」
「そう言ってくれると思ったぞい。では、早速向かうとするかのう。」


やはり、私は彼に…彼らに、転がされて、嵌められている。
彼らの優しすぎる罠に。

No.9 茶会→←No.7 暴力



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設定タグ:あんスタ , 逆先夏目 , 幼馴染   
作品ジャンル:恋愛
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*SSU* - 更・新・頑・張って・ください・ネ♪ (2020年4月17日 18時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
矢澤こゆき - 初コメ失礼します。目は大切ですし、後悔しては遅いので治療頑張ってくださいね!!更新も楽しみにしてます。 (2019年9月23日 20時) (レス) id: 9da7dff2c7 (このIDを非表示/違反報告)
Lien(プロフ) - 更新楽しみにしてます!これからもがんばってください! (2019年9月23日 19時) (レス) id: 023ad1d1e4 (このIDを非表示/違反報告)
小豆 餅(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しみに見させてもらってます(*^ω^*)これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年9月7日 9時) (レス) id: 803e6e2014 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お菓子なこいしさん» それはもう!お菓子なこいしさまの好きなようにどうぞ!よろしくお願いします(土下座)(土下座) (2019年9月2日 16時) (レス) id: cfe465a6d3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月17日 23時

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