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「それで本題なんだけどね、」
初対面だった1年生と軽く挨拶を済ませ、今回の事件についての話題に入る。
先程の会話で少し触れていた通り、チェーノは基本的にマジフト大会等の学校行事には参加しない。オープニングセレモニーや休憩時間の演奏に専念するためだ。一生徒にこんなことまでさせるのかという問題もあるが、これに関しては入学時に教師陣との
『だから、ぼくは狙われないと思うんだ』
「う〜んそうだよね〜…やっぱ他を当たるかぁ」
『ごめんね、けーくん。せっかくここまで来てくれたのに』
「いやいや、いいんだよ！？寧ろオレたちが勝手に押しかけちゃったんだし…」
謝るチェーノにケイトと同じくらい即座に反応したのはエースだった。
「え…チェーノ先輩、ケイト先輩のことけーくん呼びなの！？」
『うん。そう呼んでって、言われたから』
「素直に従ってくれる子、逆に珍しいんだよね〜！」
「素直というか何というか…意外すぎる」
やいのやいの盛り上がり始める様子から、完全に雑談になってしまいそうな流れを察知し、リドルはオクタヴィネル寮からの撤退を呼びかけた。
他人の呼称なんてどうでもいい派だという一個人の主張は兎も角、他に訪ねるべき候補者がたくさんいて道草を食っている訳にはいかないというのは共通の認識であり周知の事実だ。
「あ、そうだ。双子くん達にも会おうと思ってるんだけど、何処にいるか知ってる？」
『あのふたりなら、中庭じゃないかな。ラウンジの支度があるみたいだから』
「おっけー！ありがとう、後で行ってみるよ」
さっと会話を交わし、今度こそ一同はチェーノの元を離れる。ケイトは手を振り、リドルや監督生、デュースは律儀にお辞儀までしていた。
『みんな、がんばってね。また遊びにおいで』
犯人の手がかりは終ぞ掴めぬまま、彼らは次の目的地へと向かうのだった。
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作者名：YAS | 作成日時：2022年9月30日 17時
