【ツイステ】君に紡ぐ夢想曲【男主】 (ページ32)

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為す術もなく目の前で奪われ、全てを失う。

これまで築き上げてきたものが一瞬で否定され、淘汰され、葬られていく。そんな受け入れ難い現実を、どうして認めなければならない。どうして指を咥えて見ていることしかできないのだ。

嫌だ、いやだ。きえないで。

抗えども抗えども伸ばした手は無情にも届かず。呆然、拒絶、空虚＿＿絶望。その淵に立たされて漸く思い知るのだ。自分は所詮、搾取される側の人間でしかなかったのだと。

「チェーノ先輩、大変なんです！」

怒り、焦り、戸惑いの末に一切合切を投げ捨てたのに、

「支配人が…寮長が」

結局は無駄な足掻きでしたとさ。はい残念。

「契約書が砂にされて、ラウンジがめちゃくちゃに！！」

それじゃあしょうがないね。

「アズールが暴れてる。他のヤツらの魔力をひっきりなしに吸い取ってるんだ！」

めでたしめでたしを迎えられなかったきみには、とびきりの存在否定を！

「頼む…何とかしてくれ」

そうして取り残されたものに、否、残されてしまったもの(･･････････)に、果たして何の意味があるのだろうか。

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『…だいじょうぶ。だいじょうぶ、だよ』

すべてもとどおりになるだけ。たったそれだけのこと。

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