case.10 ページ11
外に出たら出たで、サングラスのお陰で眩しさは然程感じないものの、太陽の光が思いの外暖かくて、Aはうつらうつらしながら歩いていた。
何とかスーパーにたどり着いて、買い物かごを手に店内に入った。
主婦や家族連れで賑わう光景に、今日何曜日だっけ、とふとAは思った。
どうも調べものをしていると曜日感覚が抜けてしまうらしい。
欠伸を堪えながら適当な食品をかごにどんどん積めていく。
カップ麺にゼリー、カ○リー○イトといったインスタント食品で溢れそうなかご。
あ、あと野菜ジュースがあればいいかと飲み物のある冷蔵庫へと足を進めた。
「あれ、Aさん?」
真横から聞こえるはずのない人間の声が聞こえ、いよいよ幻聴まで聞こえるようになったかと名前は真顔で野菜ジュースをかごの中に入れる。
「あれ、お〜い。聞こえてます?…って何ですか、そのかごの中身。」
彼___降谷零はAの持つかごの中身を見て怪訝な声を発した。
回らない頭で、彼のバイトのシフトを思いだし、どうやら買い出しのタイミングと被ったらしいということを理解した。
会いたくない時に会いたくない人間ほど会ってしまうものである。
「Aさん、まさかずっとそんな食生活なんですか…?」
『まさか〜。ははははは。』
乾いた笑いを零して、踵を返そうとした矢先、ガシリと腕を捕まれた彼女。
「逃がしませんよ」
デジャヴである。
『野菜ジュース飲んでりゃ大丈夫ですって〜。』
「ダメです。野菜ジュースはともかくこの大量のカップ麺とインスタント食品は戻してきてください。」
『いや「戻してきてください」…チッ』
舌打ちを本人の目の前でかませば、「面倒なら僕が行きます」とかごを奪われ、数分後野菜ジュースだけを残したかごを手にして戻ってきた。
貴方は私の母親ですか。
『…まぁ、野菜ジュースだけで生活できるしいいか。』
「何言ってるんですか。ちゃんと食べてください。貴女この間お会いしたときより細くなってますよ。」
『大丈夫ですって〜。私食事より睡眠派なんで。』
「尚更ダメです!」
野菜ジュースを持ったかごを 自分のかごと一緒に会計に持っていったかと思えば、「これ全部キャンセルで」と店員に告げ、Aの腕を掴んで外に出た安室。
またしても既視感満載の光景に欠伸を零しながら引き摺られる様にAは、その場を後にするのであった。
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trr - 続編待ってます!!!! (2018年12月10日 5時) (レス) id: 4ac3c5bb30 (このIDを非表示/違反報告)
咲空(プロフ) - 坂竹会長さん» ご指摘ありがとうございました!(´・ω・)っ【ティッシュ】 (2018年10月19日 13時) (レス) id: 1695bf9265 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - 更新頑張ってください。夢主ちゃんの設定がドストライクです。貴方が更新するたびに、僕の鼻からイチゴオレです←汚なッッッッ。 失礼しました。_ーд#_ (2018年10月14日 10時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ26、名前変換なっていませんよ。(名前)と向き合うってなってます。間違っていたらすみません 失礼しました (2018年10月13日 21時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです! (2018年9月27日 15時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲空 | 作成日時:2018年5月17日 1時