【SLH】星印の踊り手 (ページ16)

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独り身ページ16

何時間経ったかな

おそらく5時間ほどは練習した。

そのぶん、結構な疲労があった

休息がてら夜明け前のまだ少し暗い公園に来た

來『ふぅ…ちょっと寒い…』
スウェットとダボダボパン、そのうえから
暖かそうなジャンバ

でもやっぱ足元が寒かった

來『ここの公園ひっさびさやな』

この公園は東京に上京して嫌な事がある度に
来ていた。
…嫌な事？なんやろ…なにか1番…あかんこと…
忘れてる……気が…

誰か…一瞬有名になってすぐ消えた友人…
全く興味なんてあらへんかった…けど、

なんで？
思い出して会いに行かんといけんって気の方が
強いのは…

空っぽになりかけてる頭を抱えたとき
視界の隅でなにかを捉えた

來『…？』

視線をゆっくり少し夜明けで明るくなって
いく空がある方へ向けると小さい影が

子供…？
にしては……中学生辺りかな

その子は僕に見られてるとわかると
その場にぺた…と座り込んだ
どうしていいかわからない…けど
なんとなくで感覚で話しかけることにした

來『大丈夫…？独りで…ワンピース1枚…
寒ない？あ、これ貰いもんやけど、あげる。
暖かそうやろ』

上に羽織ってたジャンバを震える肩に掛けて
あげる。
なにも言わんこの子に唯一僕が出来るのは
これぐらい…やったから

僕は状況がわからないまま未だ震える背中に
手を伸ばしてさすって落ち着かせる

ようやく、なにかを喋りだした
？「……」ﾎﾞｿﾎﾞｿ
來『？ごめん、聴こえないや…』
？「あっ…あの…ありがとう…御座います…」

ジャンバあげた事かな、それとも落ち着かせて
あげてた事…？
多分、全部。気にしないでって1言放って
ふと思った疑問を口にしてみた

來『自分、なまえは？』
？「……ない、ないです…」
來『！…そっか、あらへんのか〜』

？「色々して貰って失礼ですが、変わってます
ね…私、不安だったんです…どうしてこんな夜更けに独りで居るのか…家まで送る…とか言われると思ってました…」
來『相手が聞いて嫌な事とかは言わない。
それだけだよ…』

いまなんじだっけと思って時間を見ると
朝の6時ちょっとすぎ。
もうお年寄りがここでラジオ体操を始めたり
ランニングの人が来始める時間だった。
もう長居はできんと思って立ち上がった

？「…？」
來『ごめん、帰らないと…それ、あげる。』

あ、そーや。コンポタでええかな？
近くの自販機に行って買う。
あ、めちゃくちゃ熱いわ…大丈夫やろ〜
渡して帰ろ

來『…ちょっと熱いけど、あげるよ。じゃ』