拐って仕舞って閉じ込めて。『d!』 (ページ8)

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Episode7 ページ8

｢あ、それと。テレビを観たいのですが。｣

｢テレビ？｣

鬱先生のニコニコ笑顔が一瞬消えた。
テレビ…は攻めすぎか、これでニュースをみたいだなんて言ったら多分……

｢み、観たいドラマがありまして…｣

｢曜日と時間とチャンネル教えてくれれば録画しとくで？｣

｢リアルタイムで観ちゃだめなんですか？｣

｢あー、あかんな。｣

なぜ？曜日を知られたくないとか？
リアタイで特番組まれたりしちゃうかもだから？
不意にチャンネル変えられてニュースとか観られたら厄介だから？
…いや全部私が考えてることだこれ。

｢そうですか…｣

｢で、なに？｣

｢あー、覚えてないんです。｣

｢んじゃ思い出したら言ってな。｣

またにっこりと鬱先生が言った。

｢あの、あと学校は……｣

｢普通誘拐されたら学校行かへんやろ。｣

ですよね！私もそう思いましたもん！

｢ああ、そうですね…。｣

｢あとなんかある？｣

これ言っていいのかな……

｢私、ここから逃げれますか。また学校に行けますか。｣

｢それは…無理やな。｣

鬱先生はにっこりにったり笑ったままそう答えた。

｢なんでですか。｣

｢逃げられないからやで。GPS、付けてるし。｣

｢はい？あ、はい。｣

いやいやいやいやいや、いつ？！
あ、でも私バリバリ警戒せずに眠ってましたものね薬盛られたとはいえ眠ってましたものね。
その時ですか、ああそうですか。
それはそれは逃げられませんわ。
そもそも家の場所覚えてませんでしたわ。
逃げても捕まると、もう為す術もない。

｢えっと、最後に聞いていいですか？私のこと殺しませんよね。｣

｢おん、殺さんわ。｣

逃がさない、殺さない、と。
ずっとここで暮らせと……。

｢…はい。｣

｢ん、仲良くしよな。｣

｢はい…。｣

ホントに出さないつもりですかと。

｢悪いことせえへんから。｣

｢…はい。｣

嗚呼、改めてさようなら育ててくれたお母さんお父さん、勉強を教えてくれた学校の先生。友達の皆さん。私は逃げれません。さようなら。