拐って仕舞って閉じ込めて。『d!』 (ページ17)

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Episode16 ページ17

私の緊張というか、警戒というか、堅いものはすっかりほぐれてまるで友人か何かのように夕飯の間、鬱先生と映画の内容について話した。
人間、共通の話題があれば会話は盛り上がるようだ。
まぁ…誘拐した側とされた側っという共通というか対になる話題はあったが、それで盛り上がる犯人と被害者は居ないだろう。

共通の話題があろうが私は誘拐犯と親しく話していたのだ、自分でも良く考えると驚いた。
自分は随分と甘いのか緩いのか、それとも鬱先生が付け入る…というか接近するのが早いのか。
多分どちらともである。
私も緩いし鬱先生も上手い。

まぁ強制同居は確定事項と言うざるおえないだろうから仲良くなることに越したことはない、誘拐犯だろうが同じ家で寝て、食べて、生活するのだから。

楽しい雰囲気でお話するといつもの笑顔とは別の表情も見れたし、予想通りだが明るくて優しい人だった。
あと声が良い。

あと映画以外にも仕事の話も少しして貰えた。
グループでゲーム実況をしているそうで鬱先生というのもそのグループでの呼び名らしい。結局本名では無かった。

他にも色々聞いたような気もするが楽しかったの一言で片付けられる内容だった。

食事は楽しかった。

だが、

風呂を勧められて脱衣場に移動すると昨日と同じようにワイシャツと下着しか置かれて無かったことに不満を感じた。

服とドライヤーのついでに買って貰おう。
鬱先生のようなフワフワがいい。

明日あたり連れてって貰えるだろうか。楽しみにしておこう。

結局本日も彼シャツ状態で眠るのだがまあいいや、何も起きなかったし布団は暖かかったし。

お湯に浸かると何だかんだあった一日を振り返りどっと疲れを感じた。

ニュースを観ようとして失敗して……彼は私にニュースを見せないように対策していた。

ホラー映画をいっぱい観たな……。

夕飯はカレーだったな……。

まぁなんともない一日だった。
ちょっとだらけた休日の過ごし方みたいな。

例の砂嵐はアンテナの調子が悪かったと信じたい。