片翼の天使 Ⅱ (ページ41)

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A｢ホントに良かったの？｣

蘭｢大丈夫大丈夫。
放っとけばそのうち忘れてるって。｣

ピンポン…とチャイムが鳴って蘭が出ていくと
しばらくしてドタドタと廊下を駆け回る足音。

A｢蘭？誰だっ…た｣

ほんの一瞬、油断した隙に
バシッと頬をぶたれて困惑する。

そこにいたのは

鶴蝶｢このばか！！
オマエは昔っから後先考えねーで行動して！
竜胆がいなかったら
今頃どうなってたか分かってんのか！？
オマエに何かあったら！｣

　

怒鳴り声がビリビリと頭に響く。

蘭｢おい鶴蝶…
Aも反省してんだし、もういいだろ？｣

私を庇うように前に立つ
蘭の背中を呆然と見つめてた、

ジンジンと痛む頬に触れて状況を理解した途端
ぶわっと目尻が熱くなった

鶴蝶｢えっ、あ………｣

蘭｢ったく、泣かしてんなよ。
おいで、A。｣

ギュッと蘭に抱きつけば
落ち着かせるように頭を撫でてくれた。

鶴蝶｢悪ぃ、言いすぎた。｣

蘭｢A、
鶴蝶に言わなきゃいけないことあんだろ？
泣いてちゃ分かんねーよ、｣

涙を拭って、そっと私を引き離すと
蘭の手が私を鶴蝶の方へと向かせた、
今にも溢れだしそうになる涙を堪えて頭を下げれば
鶴蝶は少し戸惑ってた。

A｢鶴蝶ごめん、
でも、私はどうしても2人を失いたくなかった
自分の事は自分で片付けたかった…｣

何とかしたかったのに
何も出来なかった自分が無力に思えた。
結局私は、1人じゃ何も…
ダメだ…思い出すだけで泣きそうになる

鶴蝶は目線に合うようにしゃがむと
手を握って私の名前を呼んだ。
顔を上げて鶴蝶と目が合った瞬間、
何故か懐かしい思いが蘇る

自分でもよく分からない
気づいたら涙が流れてた

その目は幼い頃、
私に向けられた時と同じ優しい瞳をしていたから