片翼の天使 Ⅱ (ページ40)

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竜胆｢もういい？限界。｣

A｢わっ！｣

私の腕を引っ張って抱き寄せた。

くっつきすぎなんだよ。と
さっきまで静観していた竜胆が
可愛いヤキモチを妬いていた。

A｢えっと…ごめんね？｣

蘭｢全治3ヶ月だっけ？
その間Aの事は俺に任せとけよ
大人しくしてろよー？怪我人♡｣

そう言って煽るようにイタズラに笑った。

竜胆｢ヤダ。帰る｣

ギューっと抱きしめる腕に力が入って
可愛さと苦しさで悶えてる私を助けてくれた。

蘭｢オマエ、A抱き潰す気か？｣

案の定、ムスッと頬をふくらませて拗ねてた

A｢大丈夫だよ蘭、ありがと。
竜胆、ワガママ言ってちゃダメだよ。
怪我してるんだから大人しくしてないと｣

竜胆｢帰るったら帰る｣

そう言いながらも足元がフラフラだ。
立ってるのが不思議なくらい。

丁度そこに巡回で見に来た看護師が
竜胆を二度見した。

｢安静にって言ったそばから！
急に動くから傷口開いてるじゃないですか！！｣

竜胆｢何ともねぇって言ってんだろ、うっせぇな｣

腕を振りほどいた瞬間、
力尽きたように倒れ込む竜胆を蘭がギリギリで受け止めた

A｢竜胆！？｣

蘭｢大丈夫、寝てるだけ。｣

｢はぁ…後は任せて下さい。｣

駆けつけた医師が
竜胆を凝視しては目を見開いて驚いてた。

病室から追い出され、扉が閉まる瞬間
看護師達に囲まれた隙間から見えた竜胆の姿。
巻かれていた包帯は血が滲んで真っ赤に染まっていた。

" ニィ、嫌だ、嫌だよ。
私を…置いて…いかないで "

A｢ｯｯ！！｣

脳裏に過ぎる記憶が今もまだ
私を締め付けて離さない。

蘭｢帰んぞ、A。｣

私の手を握って歩き出した蘭の隣を並んで
家までの帰り道を辿った。