ハリーポッター ◆ ～憐憫のサターン～ (ページ7)

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「はっ・・はっ・・」

廊下を小走りで走る。
泣き叫ぶ赤ちゃんを抱え、新しい生命を無くす訳には、いかない。その姿の赤ちゃんは平均の大きさではない。いわゆる未熟児と呼ばれる格好で生まれた。その影響もあってか、発達段階の階段を登ることも、平均的な発達段階と比べるとアベレージは低く発達も遅いと感じる。
しかし、生みの親の母親はそんな事はお構いなし。【この子】と言うスタンスで、育てる事を決めている。

名家・家柄やらに、子供まで巻き込みたくないと、生みの親は思っていたらしい。自分の死を感じたことに、安泰を決めた顔をする。

「うっぷ、がはっ・・・なんでまた。血が」

生みの親・母親は、ふわふわのお包みに、包まれている未熟児を片手に、手のひらで口元をおさえる。

すると、真っ赤な血で、べっとりとついている血液の海。

「残りの命も少ないのか」

その母親のデコルテの部分に、銀色のチェーンで繋がれた
四角形のケースがふわりと銀色に光る。
その四角形のケースに【ロマンス・グレイ】と呼ぶべき、貫禄を持つ人物が、ケースの表面の鏡に、映し出されている。
射影機(しゃえいき)のようなもの、いわゆる【遺髪入れ】だ。

遺髪入れの四角形のケースの表面が鏡となっている。その表面に、水のように透明で鏡のような部分から、1人の齢に満ちた顔を持つ男性が、姿を見せている。
ただ、若々しく輝いていた青年のような姿ではない。もう、老後のような姿だ。

頭髪は長年の悩み事で、髪の毛が抜け落ちてしまい。
つるつるのスキンヘッド。初老。壮年の美しさ。薄く銀色の髪の毛が生えている。

ーーー

〜廊下〜

産声(うぶこえ)を上げる未熟児。

未熟児の表情は、滑稽なほど、くしゃりと崩れ、まるまるでくりくりな瞳から、津波のような大涙が、ぼろぼろと、溢れ、頬のハリから、したり落ちる。

その姿を顎をひき、産声を上げる張本人を、抱き抱えている母親。

母親は、窓口の方に視線を向け、エナメルグリーンの反射的な逆光に、額から汗が湧き上がる。

ハリがある肌に、遺伝子の細胞が精一杯頑張って形作ったお顔が崩れて行くその姿、肌は血色が悪く。

唇は真っ青だ。身体も小刻みに震えている。エナメルグリーンの光への恐怖心。恐怖の対象は、あの魔法使いが、手のひらのように、あやつる魔法の杖。杖の先端から、放たれるエメラルドグリーンの光、これは夢の中の物語である。